9/7 都会の態度

道路沿いのバス停のイスに座ってバスを待っていると、
僕の目的地とは違うバスが入ってきて、
数人のお客さんを乗せていく。
と、遠くから全速力で駆けてくる背広のおじさん。
ああ、このバスに乗りたいのか。
でも、ムリだな。あの距離は絶対に間に合わない。
その時、僕の隣の隣でバスを待っていたおばさんが
ちらとおじさんの方を見て立ちあがり、
インターホンでバスの運転手に話しかけた。
「これ、渋谷方面行きますか?」
「行きませんよ」
「じゃあ、永福町にも止まらないですね」
「止まりませんよ」
渋谷方面に行かないことくらい、バスを見ればわかる。
おばさんが話しているうちに、息を切らした背広のおじさんは
バスのドアの手すりを掴んで、バスに乗り込んだ。
それを見て、おばさんはインターホンのボタンを離して、
さっきまで座っていた椅子に腰掛けた。
背広のおじさんは気づいていない。
運転手も気づいていない。
スマートな人がいるもんだ。
さすが、都会。

 

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