人の役に立つお笑い

「こころふせん」という文房具がある。
フセンに「のし紙」のデザインが描いてあり、
誰かにお礼を言いたい時に使うことができる。
ただのフセンでもお礼を伝えることはできるが、
「こころふせん」があれば、よりお礼を言った気になる。
シチュエーションを限定することで、より使えるグッズになっている。

そういった、シチュエーションを限定することで、
使えるグッズというのはたくさんある。
すぐに思い出すのは、「にわかせんぺい」だ。
「にわかせんぺい」は、福岡の銘菓で、
コミカルなキャラクターの「目元」が煎餅にデザインされているお菓子だが、
煎餅と一緒に、煎餅と同じデザインが描れたお面も同封されている。
「にわかせんぺい」は商品と同じくらい、そのテレビCMも有名で、
友だちとケンカして謝りにいかなければいけなくなった小学生が、
面と向かって謝るのはバツが悪いために、にわかせんぺいのお面を顔に当てて、
友だちの家の玄関口で「ごめぇーん」と謝るというもの。
そのCMのインパクトから、にわかせんぺいのお面は、
「誰かに謝らなければならない時」に有効に使える、
シチュエーション限定商品として認知されている。
(ただ、僕は、一度も、そういう使い方をしている人を見たことはない)

そもそも、「にわか(仁輪加)」とは、
素人が行う即興の茶番(芝居)のことで、
九州では、福岡や佐賀、熊本で盛んだったという。
「にわかせんぺい」に付いているお面も、そのコミカルなデザインから、
「人を笑わせるためのお面」だが、テレビCMの影響で、
「誰かに謝りたいがバツが悪い時」「人に謝りながら笑わせたい時」
に使うグッズとして、絶大な効力を発揮している。
(ただ、僕は、一度も、そういう使い方をしている人を見たことはない)
(でも、たぶん、それは、謝るというのがとても閉鎖的なシチュエーションで起こるからだろう)

謝るというのは難しい。
インターネット時代には、いろんな人が謝らなければいけない時に、
叩かれたり、炎上したりしている。
謝り方は難しいのだ。
そんな時、にわかせんぺいのお面は、
みんなの役にたつ。
お面が、謝るということを緩和してくれる。
世界中の謝らなければならない人には、
ぜひ、にわかせんぺいのお面を使って、和解してほしい。
「にわかせんぺい」を世界の紛争地に贈ったら、世界平和が実現できるかもしれない。
「お前が先に謝れ」っていう誤ったメッセージに取られないように、
双方に贈るのがいいかもしれない。

 

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