尻に火がつくまで

サッカー日本代表のハリルホジッチ監督が解任された
なんてことだ
ハリルホジッチ監督のサッカーはうまくいっていなかったし
つまらなかったけれど
解任はひどすぎる
せめて事前に解任を匂わせないとフェアではない
一発レッドカードはフェアではない
この解任のことをみんな色々言っているけれど
二ヶ月後のW杯の後にもまた色々言うのだろう
けれど、もし今回のW杯でいい結果が出たら
みんなはなにを賞賛するのだろうか
直前のトラブルにもかかわらず一致団結して戦ったことだろうか
西野さんを男にするために選手が奮闘したことだろうか
「日本人は尻に火がつくまでなにもしない」
そう、何人かの外国人が口にするのを聞いたことがある
今回、尻に火がついた日本代表は想像以上に頑張るかもしれない
思わぬ化学反応で、いい結果を出すかもしれない
だけど、そこでいい結果を出してしまったら
尻に火がつくまでなにもしないという
日本人のだめなところはまったく治らないままになるどころか
さらに増長してしまわないだろうか

ある意思を持って誰かがアギーレさんを呼んだわけで
それが頓挫してしまったから
違う意思を持って誰かがハリルホジッチさんを呼んで、
それが予想と違ってうまくいかなそうだからといって
違う意思のもと、西野さんに変えたわけだけど、
それでとても良い結果が出てしまったら、
残る教訓は「場当たり的に動いた方が結果はついてくる」でしかない。
どこかの評論家がどこかのラジオで、
「これでこの4年間の反省は一切できなくなった」と言っていた
良い結果が出ても悪い結果がでても
W杯後、焦点は監督を変えたことだけに当たるだろう。
スポーツは結果がすべてかもしれないが、
1年間の結果で判断されるべき人と
10年間の結果で判断されるべき人がいる。
サッカー協会というのはたぶん、後者に属する人のことだ。

メジャーリーグで一挙手一投足を追われている二刀流のアスリートは、
高校卒業後、直接メジャーに行こうとした。

それを止めたのはファイターズという北海道の球団で、
「我々が計画的にメジャーに向かう道を整備して、5年で君を送り出す」
といって若者の渡米を断念させた。
そして、5年間ファイターズで希望通り投手と打者で活躍させ、
今年のオフ、宣言通り、西海岸のエンゼルスに送り出した。
あと数年待てば大金が球団に転がり込むことを承知の上で、
(聴こえてくる限りでは)一言も本人に「留まってくれ」と言わず、
ファイターズは大谷を送り出した。
そこには大谷の文句なしの実力と意志があったのだが、
同じように、ファイターズの揺るぎない意志もあった。
それは意志ではなく「割り切り」だったかもしれなかったが、
10年前のプロ野球球団はそんな割り切りができなかった。
球団はもっと選手を囲い込み、押さえ込んでいた。

そういえば何故かファイターズはというか、栗山監督は、
まったく成績を残せていない斎藤佑樹のことを一向に見限らない。
そこにも意思のようなものが見え隠れする。
ここ5年で4勝しかあげておらず、観客動員にも関係なくなった選手を
ずっと我慢して使い続けているのが、
意地なのか意志なのかはわからないが、
考え方を変えず使い続けていれば、
そのことの是非をあとで検証することができる。
未来に花咲くかどうかわからない若者を2,3年で切ってしまっては、
その検証すらできない。

現代は、待てなくなった。
すぐに結果を欲しがり、我慢ができなくなった。
その原因が、金がないことからの余裕のなさなら仕方ない気もするが、
サッカー協会にはファイターズと比べても莫大な金があるのだから、
10年、20年先を見て、ものごとを決めてほしいなと思う。

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