いなかだから

道を歩いていると、無人の野菜直売所があった。
田舎の風景だ。
店員さんがいないのに、野菜の代金だけ置いていけだなんて、
なんて無責任でありがたいシステム。
治安の良い日本以外ではありえないと、
外国人が目を丸くするのもわかる。

道を歩いていると、無人の足湯があった。
これも田舎の証。
足湯に浸かるための券売機はあるのに、
券を受け取る人がいない。
人の善意に任せられたシステムは、
金は払っても払わなくてもいいということ。
だったら券売機を最初から置かなくてもよさそうなものだが、
そこは、券売機でも置いてないと締まりが悪いのだろう。

田舎にあるローソンに電気代を払いに行くと、
店員が、僕の電気代の金額を見て、驚いていた。
「あんたん家、電気代、安いねー。
うちなんて家族7人いるから、毎月こんなもんじゃ収まんないよ!」
全国に何万店もあるチェーン店の店員なのに、
平気で、個人情報に踏み込んでくる。
フランチャイズ店の細かなマニュアルも、
田舎のおばちゃんには届かないらしい。

田舎のクリーニング屋に服をまとめて出しに行くと、
店員のおばちゃんに制止される。
「これ、冬物?こんないっぱい。
これ全部、日曜出しなさい。安くなるから」
「いや、でも、日曜は、用事あるんで」
「日曜、20%オフだから、今日は止めな」
「いや、別に、高くてもいいんですけど・・・」
「ほら、見て。このスーツとコートだけでも1000円は違う」
「いや、でも日曜はですね・・・」
「絶対、日曜がお得。服、袋に入れてあげるから。
ほら。また、日曜、おいで」
クリーニング屋にクリーニングを出しにきたのに、
クリーニング屋の店員に追い返されてしまった。
田舎の人は、おせっかいだ。
だが、まあ、それが田舎だ。