菓祖神社

京都に「菓祖神社」というの神社がある。
その名の通り、お菓子の神社で、境内にある奉納石柱にはよく聞く和菓子屋さんの名前が並んでいる。
祭神は、田道間守命(たぢまもりのみこと)と、林浄因命(りんじょういんのみこと)で、この二神はそれぞれ、不老不死の霊菓「非時香菓(橘)」を日本に持ち帰った神と、日本で初めて餡入りのまんじゅうを作った神ということらしい。

そう聞くと、歴史ある由緒ある神社かと思いきや、できたのは昭和30年代。
戦後に、京都府菓子卸商業組合が作った若い神社である。
どういう経緯かは知らないが、菓子組合が「我々が参るようなお菓子の神様を祀ってる神社がないから、いっちょ作るか」ということなのだと想像する。
商売という、運の要素が入るフィールドに立つ人たちが神を必要としたことは簡単に想像できるが、では、逆に、今のビジネスマンたちが、新しく神社を作らないのはなぜだろう。
今もビジネスには運の要素があり、一つのきっかけや出会い、発言やミスが社の風向きを変えたりする。
運に左右される人気商売の芸能人たちは、今も変な占い師や胡散臭いスピリチュアリストにはまったりするのだから、現代の水物商売をしている人たちが「神頼み」、「あの世頼み」することは珍しいことではないだろう。
だのに、IT企業が集まって、新しい神社や寺を建てたというニュースを日経新聞で読んだことは一度もない。
なぜだろう。
もしかして、ひと目につかないところに、彼らは神社を建てているのだろうか。
サイバーエージェントの本社の屋上とか、キーエンスの社長室とか、ソフトバンクの会長の別荘の離れとかに。
いや、違うか。
彼らは、デジタル産業の雄。
僕が知らないだけで、神社も寺もデジタル空間にたくさん建てていて、サイバー空間の中で祝詞や経が四六時中詠み上げられているんだろうな。