1/28 タイムスリップ

電車に乗っていると、よく、自分が乗っている車両だけ、急に、
どこか知らない無人島にタイムスリップしたらどうしよう、と考えてしまう。
どこに飛ばされるかにかかわらず、
とりあえず、どの人と仲間になれそうか、
車両に乗っている人達の顔を見渡しておく。

急に車両がタイムスリップしたとしたら、一番不安なのは、
今しているコンタクトがいつまで持つかということだ。
僕は、目が悪い。
無人島でコンタクトが落ちてしまうと、
とたんに仲間の中で一番の役立たずになってしまう。
今日持ってきたかばんの中にメガネは入っていないし、
今、目に入っているコンタクトは2ウィークのラストの方だから、
そう長くはもたない。
頑張って落ちないように気をつけたとして、
あとどのくらい痛み無しでいけるだろうか。
2ウィークのコンタクトを2ウィーク以上つけ続ける恐怖が、
裸眼で過ごす人たちに伝わるだろうか。
一刻も早く無人島から帰還できるよう、頑張りたい。

コンタクトがないと何も見えない。
そこに、生物としての弱さを感じる。
ある調査では、視力が1.0以下の子どもは、
ここ30年で2割ほど増えている。
メガネもコンタクトもない時代、
視力が0,1ない人は、そんなにいなかったはずだ。
歴史小説に、メガネキャラが出てくることは滅多にない。
メガネもコンタクトもない時代には、
視力が悪いってことが、身体的障害とみなされていたのだろう。
つくづく現代人でよかったと思う
(現代人だから、目が悪いんだけど)。

坂本龍馬は、少々、眼が悪かったらしく、
脱藩していた時に、目を細めて、遠くから来る役人を見つめていた。
(「ワシャ、近眼じゃきぃ」と『おーい、竜馬』の中で言っていた)
ただ、悪いといっても、
夜中にネトゲもソシャゲもなやらなかった竜馬は、
0,3くらいはあっただろうと思う。
敵との立ち会いで、問題なく、相手の太刀筋を見ていたし、
なんといっても、北辰一刀流の免許皆伝だ。
悪いといっても、そんなに悪くない。
それに比べて、僕は、ネトゲ、ソシャゲどころか、
子供時代にゲームボーイすらやらなかったのに、視力が0,1ない。
コンタクトをせずに出かけようとすると、
平気で、妹のローファーを履こうとしてしまい、
なかなか足に入らないことで、初めて間違いに気づくほどの近眼だ。
生物としてのディスアドバンテージ。
無人島では、みんなに迷惑かけないためにも、
なるべく、コンタクトが落ちる前に、帰還したい。
その前に、なるべく、タイムスリップに巻き込まれないように、
気をつけて電車に乗りたい。