ホールインワンしたと騒いでいる人がいる。
ホールインワンをした場合、
ゴルフ仲間や周りの人に配り物をするのが慣例らしく、
記念品としてボールやタオルを作ったり、
ゴルフ場に植樹したりするのだという。
ゴルフをやるだけでも金がかかるのに、
いい結果を出しても、金がかかっちゃうんだ・・・。
ふと、あるプロ野球のオーナーが以前言っていた言葉を思い出す。
「ペナントで優勝すると金かかるから、二位が一番いいんだよ」
そういうのは本当だとしても、
オーナーが言っちゃいけない言葉だろ。
高校生の頃、そう思った記憶がある。
勝ちすぎたり、強すぎたり、
上手く行き過ぎるのは、本当はいけないことなのだ。
上手くいったり、めでたいことがあったりしたときは、
周りにおすそ分けしてバランスを取る。
「幸」と「不幸」はバランスの上に成り立っているので、
「幸」が多すぎた時には、人に分け与えなきゃいけない。
祝い事があった時には、近所の家に紅白餅を配って幸運をおすそ分けし、
家(うち)に「慶び」が訪れた際には、「内祝い」をする。
「幸運が続きすぎてもいけない」「ツキすぎはよくない」
そういう感覚を、日本の人たちは持っている。
いいことがあった時に、それを独り占めせずに、
人に分け与えることで、次の運を呼び込み、
他の人に運が巡ってきた時には、そのおすそ分けをもらう。
そうやって、みんなで幸運をシェアしていくのが、狭い島国の知恵、
みんなでハッピーになるための方法なのだ。
先日、佐賀の実家に帰った時、
近所のおばあちゃんが、孫が東大に受かったと、
「東大まんじゅう」だか「東大センベイ」だかを近所に配っていた。
ただ、これまで近所で、
「京大まんじゅう」や「早稲田センベイ」を配っているお婆ちゃんの話は聞いたことがないので、
「東大まんじゅう」は幸運のおすそ分けではなく、ただの自慢だなと思ったが、
配っているお婆ちゃんは昔の人だ。
例え、孫が東大に受かっても、それは実力ではなく、
皆様の「おかげさまで」と思っている可能性がある。
ホールインワンだって、実力というより、ほとんど運なのだから、
孫の東大合格も、実力というより、運だとお婆ちゃんが思っていても、不思議はない。
「ツキすぎてはいけない」
そう思って近所にまんじゅうを配る婆ちゃんの姿を孫が見て、
自分は「(誰かの/なにかの)おかげさまで」東大に受かったんだ、
なんて思うことは、まずないんだろうけど、
もし、それがわかるんであれば、「さすが東大生だな」と思う。
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