時計を見ると夜の11時。
9時にご飯を食べようと思ったのに
11時になってもご飯は食べれずじまい。
一人暮らしの家では待っててもご飯は出てこない。
自分で作るか、買いにいくか。
一人で暮らしていると、何かしらの行動を起こさなくてはいけない。
待っていても腹は膨れない。
差し迫った選択にうんうん悩んでいると、
時計はあっという間に12時を差している。
日付が変わってから何かを買ってきて作る気にはならないので
二つあった選択肢は自然と一つになる。
買ってくるしかない。
選択肢とは、待っていたら減るものと知る。
婚活していない38歳の友達にこの金言を教えてあげよう。
時間は強制的に選択肢を消していくのだと。
なにか作るという選択肢がなくなり、
買いにいくという一択しか残っていないはずなのに、
着替えて寒い外に出かけることが億劫でたまらない。
怠け者。
そういえばこの前行った動物園でナマケモノを見た。
噂通りののろさだったけど、
のろさだけなら、霊長目のゲージで見た「スローロリス」の方がのろかった。
名前負けしてないなと思ったが、
それならスロー”ロ”リスではなく、スローリスでいいじゃないかと思った。
”ロ”になんらかの意味があるのだろうか。
12時を過ぎてもご飯にありつけない、30代のスローロ男子は
選択肢が二つ以外にも何かあるんじゃないかと期待して、冷蔵庫をあさる。
でもそれは10時台に一度やったこと。
それでも台所をくまなくあさっていると、
シンクの下にコーンフレークを発見。
頑張れば、選択肢は他にもあるものと知る。
でもこの金言は、婚活していない38歳の友達には知らせない。
一人家にこもって生きていくのも選択肢の一つだと気づいてしまうから。
コーンフレークにかける牛乳がないので、そのままボリボリ食べる。
食べながら、「夕食にお菓子を食べてもいい人のことを、大人という」
と言ったロックスターのことを思い出した。
朝食の代名詞であるコーンフレークを夜食べれるのは、大人の証。
子どもにそんな自由は許されていない。
自由な大人は、夜ごはんにお菓子やコーンフレークを食べてもかまわないのだ。
ぼりぼり。
ぼりぼり。
んー、自由って、味気ないなぁ。