からだが、人格に影響を与えることことがある。
僕は子供の頃、背が伸びるのが遅かったので、
スポーツ選手なんかでも、体格に恵まれない、小さな選手を応援していた。
パワーではなく技巧に秀でた選手。
4番やセンターフォワードを張れないような、
あまりお立ち台に立たない選手。
その傾向は、スポーツを見る時だけでなく、
お笑いや音楽を見る時も同じで、
みんなが注目するボケの人ではなくツッコミの人を、
客席の前でシャウトするボーカルではなく、
最後列でリズムを刻むドラムを見ていた。
それは人を見る時だけでなく、ものを選ぶ際にも影響を及ぼしていて、
みんなが欲しがる人気ナンバーワンの商品よりも、
その後塵を拝しているような、
人気が微妙にない商品を買ってしまうことがあった。
大学の時、音楽を聴くためのポータブル機器で
空前の人気だったのがアップルのアイポッドで、
誰もがその洗練されたデザインや
何千曲も持ち運べるその容量の多さに惹かれていたが、
業界3,4番手の商品にどうしても手を差し伸べたくなる僕の体質が、
アイポッドではなく、東芝のギガビートに向かわせた。
東芝のギガビートなんて、デザインでも容量でも操作性でも、
名称においてすらアイポッドに何馬身もリードされていたのに、
僕は、数年間、操作性が悪くてださいギガビートで音楽を聴きつづけた。
そして、なぜ、ギガビートが業界三番手に甘んじ続けているのかを、
身をもって理解することになった。
そのことを知り合いに話すと、その人も、
業界最大手にはなぜか手が伸びない性格らしく
「やっぱ、プロミスやアコムじゃなくて、レイクとかモビット行っちゃうもんね」と、
どこが最大手かわからない消費者金融の話をされた。
「あと、コンビニで言うと、サークルKとかエーピー(AMPM)ね」
その話をしたのは10年ほど前で、
その頃はまだコンビニにも業界4位や5位があったが、
今や、再編と寡占化で、コンビニは基本的に3位までしかない。
コンビニ以外の業界も軒並み、上位2社・3社のみの戦いになっている。
弱いものを応援したい立場からすると、なんだか寂しい戦いだが、
ギガビートのヘボさを身をもって知っている立場からすると、
業界4位や5位が退場していくのも、
それはそれで、仕方ないことなのだと感じる。
5位が市場に残れるほど、今の市場は甘くないのだろうな。