衆院選が荒れている。
告示前の政党再編によって、「誰が何党」で「何党がなにをしたい党なのか」
てんでわからなくなってしまった。
選挙10年選手の僕でさえわからないのだから、
18歳の選挙ルーキー達には、さっぱりだろう。
18歳に対して「立憲民主党」なんて言ったって、
「立憲民政党」とか「立憲政友会」とか、
歴史の授業を思い出すだけだ。
選挙権が18歳になって2度目の国政選挙ということになるが、
今回がデビュー選挙戦になってしまったルーキーたちは、
かわいそうでもある。
ただでさえ、初めての選挙でなにがなにやらわからないのに、
選挙の直前に、党が、潰れたり立ち上がったりしている状況では、
なにもわからず、とりあえず、なんとなく覚えている政党名を書いたりするのだろう。
いつもは、そうじゃないんだよ。
通常は、もうちょっと、党の言いたいことなんかがわかった状態で投票所に行って、
なんとなく覚えている政党名を書いたりするんだよ。
本の中で知った、理念としての民主主義や普通選挙は尊いものだし、
それを守るために多くの人の献身があって達成したことではあるが、
現実に、自分が、投票所の、「一蘭(ラーメン屋)」みたいに仕切られた中で、
候補者の誰かに鉛筆で丸をつけようとする時、
いつも湧いてくるのは、誰にも丸をつけたくないという感情で、
誰に一票入れてもしょうがねえしな、という虚無感でもある。
未成年に禁止されているタバコや酒が、
禁止されているがゆえにいいものに思えて、いざ手を出してみると、
その大したことなさにがっかりするように、
本の中のできごとだった”民主主義”を初めて生で体験して、
その”理念”と”実際”の差に落胆するのが、
大人の入り口としての、選挙制度の機能なのかもしれない。
政治家は、その落胆を20歳ではなく18歳で
早めに味あわせたくて、年齢を2歳引き下げたんだろう。
ただ、今回がデビュー戦の18歳には、「落胆」ではなく、
「わけのわからなさ」だけが残る大会となることでしょう。
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