登山には厳密な計画が必要だという。
一人で登る登山ではなく、パーティーを組んで
世界最高峰クラスに挑む登山においては、
計画時点でのミスが命取りになることもありえる。
パーティーには必ず隊長がおり、
隊長は、刻々と状況が変わる山中で、
的確な判断でパーティーを引っ張らなければいけない。
登山をやると、過酷な状況の中で組織全体のことを考える力、
強いリーダーシップが養われるという。
そして、同時に、隊長以外の人には、
強いフォロワーシップが養われるという。
フォロワーシップ。
引っ張る人、決断する人ではなく、
ついていく人、従う人の能力だが、
このフォロワーシップもリーダーシップ同様、
組織には欠かせない能力だ。
リーダーシップが経験によって積まれていくように、
フォロワーシップも経験によって積まれるものであり、
逆に、意識的に養おうとしなければ生まれない
能力なのかもしれない。
上が決めることに唯々諾々と従うことは
フォロワーシップではない。
フォロワーシップは、パーティー全体のことを考えて、
リーダーを支え、助言し、時に盛り上げて、
目的地までちきんと全体を押し上げていく力だ。
リーダーがパーティーを前から引っ張る力なら、
フォロワーはパーティーを後ろから押し上げる力。
フォロワーシップがあって初めて、
パーティーは頂上まで登ることができる。
数年前に、Tedだったかなんだったか、
ウェブ上で拡散された動画があった。
動画はどこかの大学のキャンパスの芝生を映す。
そこで突然、一人の学生が「バカ踊り」を始める。
学生たちが本を読み、おしゃべりするキャンパスでの、
異質で場違いな、めちゃくちゃなバカ踊り。
皆が、その場違いな踊りを冷ややかな目で見る中、
一人の学生が近づいていき、バカ踊りをする学生の横で、
一緒にバカ踊りを踊り始めた。
異質な二人のばか踊り。
二人のバカ踊りが楽しそうに見えたのか、その後、
三人、四人と加わり、だんだんと参加人数は増えて、
一人のバカ踊りは、大きな集団バカ踊りに膨れ上がった。
今、思うとなんであんな大勢の学生が芝生にいたのか不明だが、
ともあれ、その映像で伝えたかったのは、
最初に踊りに加わった「二人目」の重要性ということだった。
多分、起業とかスタートアップとか、
そういうものに関する主張だったと思う。
変なやつ(一人目のばか踊りer)は突然現れる。
それを冷ややかに見るのでなく、
一緒になって踊ってあげる二人目がいてこそ、
唐突で変な試みは、社会にとってインパクトあるものになるという。
大切なのは、二人目。
一人目を生かすも殺すも二人目。
ダチョウ倶楽部でいうと、寺門ジモン。
リーダーが「じゃあ、俺がやるよ」と言った後、
「じゃあ、俺がやる」と寺門ジモンが引き継いでこそ、
それは3人目に引き継がれ、最後の「どうぞどうぞ」につながる。
リーダーが言う「じゃあ、俺がやるよ」を
二人目が繋いでくれなければ、フリにならない。
オチまでいかない。「パターン」が成立しない。
一番目が撒いた種が育つかどうかは、二番目の人にかかっている。
リーダーを生かすも殺すも二人目。
組織にとっては、リーダーシップと同じくらい
フォロワーシップが大事だという、お話。
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