吉祥寺には井の頭公園がある。
池があって、木が茂っていて、お地蔵さんもいる。
いい公園だ。
都会の人は、公園を重視する。
世界の住みたい街ランキングでは必ず、
公園の数や街に占める緑の割合なんてのが出る。
いい公園がある街ほど、いい街。
それは、時に、滑稽だなと思う。
田舎に行けば、緑なんて山ほどある。
都会の人が口にする「マイナスイオン」なんて言葉も、
口にしなくていいくらいのイオンを田舎では感じられる。
散々、緑を削って、人工物で囲んだ街に住み、
わずかに残った緑の多さを競って、
緑に囲まれた公園だの、憩いの場が多いだの、
一位だの二位だのと喜んでいる。
滑稽だ。
だが、結構だ。
結構、結構、コケコッコー!
とドン・ガバチョは飛びながら叫んでいたが、
自然を人工化していくのは、人間の歴史でもある。
特に日本は庭園をみてもわかるように、
人工化した自然を愛でる文化が長い。
茶道なんか「市中の山居」とうたって
本来山の中に建てるべき隠遁のための庵を街なかに建て、
喧騒の中で閑寂を味わうという錯綜した感覚を
「侘び」だとして喜んできた。
街なかに公園があることを喜ぶのも当然だ。
今日も吉祥寺の「市中の山居」では
カップルがアヒルのボートを楽しそうに漕いでいる。
ボートに乗ったカップルは別れるなんてジンクスもなんのその。
池にはでっかいアヒルが一羽、二羽、三羽、浮かんでいる。
滑稽な光景だが、結構なことだ。
癒やしが必要な都会の街に、公園は欠かせない。
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