年賀状の季節に突入したらしい。
テレビでは、年賀状にまつわるテレビCMが始まり、
郵便局には、年末年始のバイト募集の張り紙が貼ってある。
一年の何分の一のハガキが一気に郵便局に集まるこの時期、
郵便関係で働く人たちは、てんやわんやなんだろう。
現場の局員さんにとっては、
ゆっくりおせちを食べて三が日を過ごすなんて、
夢のお正月なのかもしれない。
日本の宅配・配達関係の仕事は、他の国よりもだいぶ丁寧だ。
たまに年明けのニュースで、
年賀状を配っているアルバイトの配達人があまりの年賀状の多さに途中で嫌になって、
年賀状の束を川に捨てたなんてのがあるが、
そんなイレギュラーな不祥事以外で、封筒の中を見たとか、包みから現金を抜き取ったとか、
配達人の悪事はあまり聞かない。
日本の郵便配達人は、総じて、真面目に仕事をしているんだろうと思う。
大学生の頃、大阪にいる友達に手紙を出そうと思ったのだが、
いかんせん名字が思い出せない。
下の名前は覚えているが、名字が出てこない。
それに、肝心な、住所も、全然、思い出せない。
名前も住所も思い出せないが、ハガキは出したい。
一度、家に行ったことがあるので、
家の最寄駅の駅名と、そこからどう歩いて向かったかは、なんとなく覚えている。
あと、家に犬がいたことも覚えている。
電話番号はもちろん知っているが、電話をかけて直接、住所を聞くのも気が引ける。
ハガキなんて、急に家に届いてこそ、だ。
しょうがないので、ハガキの表に、とりあえず、彼の下の名前だけを書く。
その時、自分が、彼の下の名前の漢字すら知らないことに気づいたので、
しょうがなく、ひらがなで書く。
まあ、でも、漢字だろうがひらがなだろうが、
そもそも名字がないのだから、どちらでも関係ない。
住所欄には、何も書くことがないので、
おぼろげに覚えている、最寄駅から家までの生き方を、図入りで説明する。
空白には、「家には犬がいます(秋田犬)。よく鳴きます」と付け加えておく。
こんなんで届くかなあと思いつつポストに入れたが、
その後、手元に戻ってくることはなかった。
(自分の住所は、しっかりと書いておいた)
数ヶ月後、その友達に大阪で会うことになり、
彼は、会うなり、「あのハガキは何やねん!」と言ってきた。
どうやら、ちゃんと届いたらしい。
あんなんで、よく届いたもんだなあ。
「だいたい、名字すら忘れるってどういうことやねん!」
あぁ、思い出した。
今、名字、思い出した。
直接会って顔を見ると、名字もすぐに頭に浮かぶものなんだな。
記憶とはへんなものだ。
「しかも、うちの犬は、秋田犬やなくて、紀州犬や!」
それは知らない。
犬には詳しくないのだ。
まあ、でも、名字も住所もないのに、ちゃんと届いてよかった。
日本の郵便配達人は、総じて、”超”真面目に仕事をしている。
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