
流行りに乗ることができない。
 小さい時についた世間の流行りに乗らない癖は、大人になっても変わらないもので、
 何が流行っても、全然、興味がわかない。
 中学生の時、携帯用テトリスが学校中で流行り、
 みんながテトリスの30面や40面をクリアしていた時、
 僕はひとりそっぽを向いていて、
 みんながテトリスに飽きて、見向きもしなくなった後に買いに行き、
3面クリアしたところで飽きて、やめた。
 たぶん、流行りごとに、向いていないのだと思う。
マーケティング用語には、「イノベーター理論」という考え方があって、
 ある商品に対する態度の違いによって、
 人々を5つのグループに分ける。
 ①流行りに関係なくのめり込んでいる人=イノベーター
 ②流行りになりだす前に興味をもつ人=アーリーアダプター
 ③流行りだしたら興味をもつ人=アーリーマジョリティ
 ④完全に流行りになってから興味をもつ人=レイトマジョリティ
 ⑤流行りに無頓着な人=ラガード
携帯用テトリスに関して僕は、⑤か、もしくは、
 ⑥流行りが終わってから興味をもつ人(そんなグループないけど)、
 だったのだけど、
 iphoneくらいの、もっと社会的に大きな流行りになると、
 おばさんや高齢者まで含まれるので、③くらいに入るのかもしれない。
ただ、流行りを作る人は、②でも③でも④でもなく、
 ①流行りに関係なくのめり込んでいる人、だ。
 流行りのゲームを作る人は、ゲームが市民権を得る前からゲーマーで、
 流行りのアニメを作る人は、大人のアニメ好きなんて気持ち悪かった頃から、
 立派なアニメオタクだったはずだ。
 流行りを作る人は、流行りを追った時点で、アウトなのだ。
流行りを作り出す人といえば、
 プロデューサーの秋元康氏が15年くらい前、インタビューで
 「止まった時計は一日に二度あう」と言っていた。
 世の中は、流行りだ、ブームだと、いつもせわしなく動いているので
 世に合わせて時計の針を動かそうとしても、絶対に追いつけない。
 そうではなく、針を止めたままにしていれば、午前と午後、
 必ず、一日二回は、正確な時間を指す瞬間が、訪れる、と。
当時、テレビ番組の制作側の人くらいにしか思っていなかったので
 その言葉にピンとこなかったが、
 AKBが世の中に出てきた時に、ピ、ピ、ピーン!ときた。
 80年代、おニャン子クラブで合わせた針が、
 20年経って、AKBで再び、ぴったり合っていたのだから。
流行りを作る人は、流行りを追うことはしない。
 流行りを作る人は、動かず、じっと、
 流行が自分に合わせてくれるのを、待っている。
 流行りを作る人は、流行りを追った時点で、アウトなのだ。

 
 

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