高い声の男の代表は、将棋の羽生さんだと思う。
羽生さんの声は、高い。
僕は、羽生さんの声の高さに、救われる時がある。
もしも、あんな頭脳明晰な人の声が低かったらと考えると、
なんだか恐ろしい。
低い声は、人間社会を向いている。
重厚な声は、人を脅したり、命令したりすることができる。
高い声に、そんな威力はない。
高い声では、人を動かしたり、意のままに操ることができない。
羽生さんの声では、隊列もきれいに動かない。
高い声は、そういうことには向いていない。
羽生さんの声は、羽生さんの知性同様、からっとしている。
宇宙に開かれているような、
からっとした知性と、
重みも渋みもない、からっとした声。
ああいう、理詰めの、理工系的な天才の声は、総じて高い気がする。
理工系の頭脳明晰な人は、しゃべりも、下手な印象がある。
(羽生さんは、話すのが遅いけど、下手ではない)
それは、多分、口が、思考に追いついていないからだ。
思っていることを口に出そうとしても、頭に口が追いつかないから、
思っていることすべてを言えずに、断片的になる。
聞いているほうは、話の間が飛ぶので、なんだかよくわからない。
理工系の頭脳明晰な人は、字も下手な印象がある。
多分、字をきれいに書くことに興味がないのだろう。
そして、これも、手が、思考に追いついていないことが原因だ。
思っていることを書こうとしても、手が頭に追いつかないから、
思っている通りに書き上げる前に、次の文字に行ってしまう。
頭のスピードに手のスピードが追いつかないのだ。
なんだか理工系の人を悪く言ってしまったが、
羽生さんは理工系の代表でもなんでもない。
羽生さんの知性のイメージが理工系っぽいってだけで、
羽生さんは、理工系ではない。
羽生さんは、
知性が「文」とか「理」とかに別れる前に、
将棋界に入り、爆速でのし上がっていったのだ。
羽生さんは、高卒だ。
しかも、通信だ。
羽生さんの知性は、
文系や理系を、とっくに凌駕してるのだ。
アメリカでは、
ジョブズやザッカーバーグが大学を中退したことが、
今やかっこよく語られているが、
”うちの”羽生は、通信制の高卒だ。
大学なんて、鼻っから、価値を見出していないのだ。
かっこいいんだ。
声も含めて、かっこいいんだ。
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