学生時代からの女友達が少し体調を崩したというので、
お見舞いに行くことにした。
こういう時、何を持って行こうか悩むところだ。
お見舞いとはいっても、入院しているわけでもなく、
少し気が滅入っていて、ふさぎこんでいるくらいだ。
大げさにすることはない。
ただ手ぶらはよくないと思うし、食欲はないとのことなので、
食べ物はよしたほうがよいだろう。
お見舞いの定番は花なので、
花でも買って行こうかと考えるが、大げさなような気もする。
考えを巡らしながら、クローゼットを眺めていたら、
鮮やかな花柄が細かくプリントされたシャツが目にとまった。
うん。ちょうど、いい。
花柄シャツにパーカーをはおって友達の元へ行くと、
さすが、長年の友人。
花柄のシャツがお見舞いの花の代わりだということを、
会話の途中で見抜いた。
「なにそれ!気持ち悪い!やめて!
普通の花買ってきた方が100倍まし!!」
彼女は、その日一番の大声を出した。
どうやら、心配するほど、ふさぎこんではないようだ。
友人として、ほっと、安心した。
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