大学生の時、図書館で本を借りて延滞すると、1日につき10円の延滞料がかかった。
僕は読めもしないくせに一度に大量に借りてしまい、そのまま本を借りたことを忘れてしまうことがあったので、
よく高い延滞料を払っていた。
そうやって毎度毎度延滞料を図書館で支払っている時に気になったのが、
延滞料を払ってるのにもかかわらず、係の人に「気をつけてください」と強く言われ、
僕ら、学生が毎回「すみません」と謝っていたことだ。
あれ、僕ら罰金払っているのに、なんで、謝るんだっけか。
TSUTAYAやGEOのようなレンタルビデオ店で返却を延滞してしまった時に、
店員から「謝れ」と言われることはない。
それは、延滞という行為を、延滞料という”罰金”で解決しているから。
逆に、罰金のない市や県の図書館で借りた本を延滞してしまったら、
図書館のカウンターの人に対して、丁寧に謝ることになる。
それは、僕が借りていた本を、他の誰かが借りたくて待ってた可能性があるから。
こちらの落ち度を、金で解決していないから。
でも、大学の図書館は、本を延滞した際に、罰金を払わせた上に、頭を下げさせようとしてくる。
これ、間違ってない?
どっちか片方でいいはずじゃない?
そう、同じ大学に通う関西出身の友達に話したら、
肯定も否定もせずに、自分の話を始めた。
「俺、おとつい、彼女との待ち合わせに遅刻してもうてさぁ。
めっちゃ謝ってんやんか。めっちゃめちゃ、謝ってん。
そやけど、遅刻許してもらう代わりに、映画代おごらされることになってん。
めっちゃ謝ったのに、おごらされてん。
これ、どっちかでええよな?」
なんだそりゃと思ったが、僕が言っているケースと違う例を出してきたので、真っ向から否定する。
「いや、違うだろ。
レンタルビデオ屋さんは、ルールとして延滞料を決めてて、それに同意して僕らはDVD借りるわけ。
でも、市や県の図書館はルールで罰則を決めてないから、マナーとして謝るし、マナーの範疇なら向こうも許してくれるわけ。
でもさ、大学の図書館は、延滞したら罰金っているルールを導入してるにも関わらず、
マナーの範疇であるはず謝罪を態度で示せっていってくんのが、僕は気に食わないって言ってんの!」
「・・・」
「でも、お前と彼女の間には、遅刻したときのルールとか罰則はなかったわけだから、
謝罪の態度も見せて、映画もおごるってことで、お互いが手をうったんなら、
それはまったく問題がないし、それに対して、お前が怒るのは筋違いだろ」
「いや、ちゃうやん。
俺は、謝ったんやから、映画はおごらんでええやろ、っていうてんねん」
「いや、だから、罰則を決めてない時点で、そこは交渉次第なんやから、
お前が謝った上に、映画代で手を打ったんなら、それでしまいや、いうとんねん」
「いや、そんなことやないねん。
俺は、一般の感覚として、1時間の遅刻は、謝って済む話やろっていうてんねん」
「それは二人の感覚の問題やないか」
「ちゃうねん。同意してほしいだけやねん。
1時間の遅刻は、謝って済む話やろっていうてんねん。
『そやな』っていうだけでええねん」
「ちゃうねん。僕も同意してほしいだけやねん。
大学の図書館での延滞は、謝るか罰金払うかのどっちかでええよな、っていうてるだけやねん。
『そやな』っていうてくれるだけでええねん」
ほんとうは、「そやな」って言って欲しいわけではない。
関西人と話してると、こっちもニセ関西弁になって、正しいか正しくないか、是非の話をしていたのに、
いつの間にか、言葉遊びになってきてしまって、困ってしまう。
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