最近はゲーム機にリセットボタンがついてないので、
「人生にリセットボタンはないんだよ」という比喩が若い人にピンとこないという。
確かに、リセットボタンを知らない若者からすると、
「人生にない『リセットボタン』ってのは、一体どこにあるんだよ」という話になる。
それと似てるようで似てない例として、「 ボディブロウ」の話がある。
ボディブロウとは、ボクシングで横っ腹に受けるパンチのことで、
顔面へのパンチほどダメージはないが、喰らい続けていると、ダメージが足に来て、
後半のラウンドに立てなくなる、後半疲労形の攻撃のことだ。
国民のほとんどの人が、本気のボディブロウを喰らったことがないにも関わらず、
『このように毎年増え続けている国の借金は、後々、ボディブロウのように効いてきますよ』
と、さもボディブロウの怖さを知っているかのように、誰しもが簡単に使っている。
と、どこかの本で指摘されていたのを、以前読んだことがある。
なるほどな、と思う。
確かに、ボディブロウよりも後々じわじわ効いてくるものを私たちはもっと他に知っている。
例えば、「給料日に調子にのって使ってしまった3万円」とか。
給料日に調子にのって使ってしまった3万円は、翌月の給料日5日前に、じわじわ効いてくる。
苦しい。使わなきゃよかった。
まさか、先月使った3万円が、こんなところで効いてくるとは・・・。
みんなが、しっくりくる感覚だ。
少なくとも、「ボディブロウ」よりはしっくりくるだろう。
しかし、だからといって、
「このように毎年増えている国の借金は、『給料日の5日前くらいに感じる、
調子にのって使ってしまった前月の給料日の3万円』のように、後々効いてきますよ」
と言っても、締まらない。
それに、長い。
「ボディブロウ」というのは、みな喰らったことはないかもしれないが、
比喩としては、優秀なのかもしれない。
定着する表現とは、そういうものなんだな。
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