3/17 本買う代わりに食費を詰める

お金のまったくなかったフリーター時代に
古本屋で立ち読みしていたら、
どうしてもその本が欲しくなってきた。
お金がない者の基本は、立ち読みだ。
だが、一日立ってても、読み終えない。
 これは、日本人として、買うべき本なんじゃないのか。
自分を正当化してみる。
 今日のご飯を詰めてでも、この本を買うべきだよ。
自分のなかの言い訳なんぞいくらでもでてくる。
「じゃあ、今週のご飯代、詰めような」
本を購入して、スーパーへと向かう。

はい。今日は親子丼ですよ。
一番安い卵と鶏肉ね。
卵コーナーで特売品の卵を手に取る。
 え?いいの?最安値の卵買うの?
 自分、ちゃんとした農家が育てたら
 105円でなんか販売できんこと知ってるやん。
 さっき食費を詰めることで納得したはずの
心のなかのやつらが文句を言う。
鶏肉コーナーでも、
 え?自分、昨日食料自給率の本読んでたくせに、
 ブラジル産もも肉とか買うの?まじで?正気?
 知識と日常は別ってか?
結局、食費を詰めることができずにスーパーを後にする。

家に帰ると、先々月の水道料金の請求書が来ている。
ふむ。
でも、水道料金を詰めることはできない。
ライフラインだ。
どうしよう、どうしよう・・・。
どうしよう・・・。
床で仰向けになって考えていると、朝になっていた。
悩んでても、朝はくる。

結局、その月は、交通費と美容院代を詰めることになり、
どこへいくのにも歩いていき、
友達に頼んで坊主にしてもらった。

電車を使わずどこへでも歩いていくことや、
美容院にいかずに坊主にすることに、
異論を挟むやつはいなかった。
自分のなかにいるやつらが、
ただ楽をしたいだけの言い訳野郎じゃないことがわかって
少し安心した。

 

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