「あの人に会いたい」というNHKの10分番組があった。
もしかしたら、今もやっているのかもしれない。
NHKの過去のインタビューを編集した番組で、
昭和の有名人がわんさか出てくる。
手塚治虫やら松下幸之助やら。
桂米朝やら高田渡やら。
石垣りんやら宇沢弘文やら。
そこに出てくる著名人の発言には、
今は忘れ去られた昭和の価値観や考え方があり、
考えさせられることが多いのだけれど、
それと同じくらい、
そこでインタビューをするNHKのアナウンサーの
黒子ぶりに驚くことが多い。
ほうほう。
ええ、ええ。
はいはい。
はあはあはあ。
へえへえへえ。
そうですなあ。
なるほどねえ。
相槌を打ったり、
合いの手を入れたりするのが、
まったく邪魔にならない。
餅つきの返し手のように、
どんな発言にも
ヨッヨッっと、調子の取れた
合いの手を入れていく。
まったく自分を主張しない合いの手。
今の若者はほぼ、あの合いの手ができないだろう。
今の日本人は、相槌にもパーソナリティが乗っかっている。
個を消した「ほうほう」が言えない。
調子だけの「へえへえ」が言えない。
それがいいことなのかどうかはわからないけれど、
みんなが餅の「つき手」になってる今、
いい「返し手」が重宝されるのは、間違いない。
「人の話が聞ける」ってのは能力だよね。
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