5/7 読んでる人・書いてる人

京都の東本願寺の前の通りには「命があなたを生きている」
という言葉が掛かっている。
京都に住んでいた時、僕はいつもそこを通るたびに
それを読んで、考えていた。
僕が生きているんじゃない。命が僕を生きているんだ。
我ながら、良い読者だと思う。
一日に何千人の観光客があそこを通って、
その言葉を見ずに通り過ぎてるかしらないけれど、
僕は何度通っても、ちゃんと読んで、心の中で反芻する。
別に東本願寺が、偉いお寺だからではない。
誰かのスキャンダルを報じる電車の中吊り広告だって
壁に同じ言葉がずらっと並ぶ習字の文字だって
保育園の今月の献立表だって
目に入ったものは、ちゃんと読んでる。
読んで、気にかかったことを心に留めている。
「今月の献立、何で5日は「唐揚げ」なのに、
 26日は「からあげ」なんだろなあ?
 何か、違う「からあげ」なのかなあ?」
どんな媒体でも、良い読者が、良い書き手を育てるのだ。
それが「朝日新聞」であっても「今月の献立」であってもだ。

 

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