本屋で立ち止まる。
あれ、ラップが流行っているのかしら。
文芸評論の雑誌で特集が組まれているし、
フリースタイルラップバトルという
即興でラップしあう番組の話もよく聞く。
渋谷でサイファーしている(輪になってラップし合う)人も
増えたというし、
シールズの人は国会に向けてラップで気勢をあげていた。
そういえば、ヤフー知恵袋にもこんな切実な悩みがあった。
「彼氏が執拗に韻を踏んできます。
どうすればいいのでしょうか」
回答者の皆さんは、遠回しに嫌だと伝えろとか
正面からアンサーラップ返して凍りつかせればいいとか
答えていたが、質問者の心中、深くお察しする。
ラップは数十年前の詩みたいなものなので、
二人の中で、前提共有がされていないと、
どうにも、うまくはまらない。
映画「今を生きろ」では、イギリスの高校生が、
豪快な先生に触発されて、
洞窟の中で自作の詩を発表しあって
互いの絆を強めていた。
でも彼らだって、ダイニングでミートローフ食べながら、
味の感想を詩にしていたわけではない。
生活は生活。詩は詩。
だから、どんなラッパーでも韻を踏むのは
場をわきまえなければいけない。
彼女が櫛で髪を解きながら、いきなり
「その子二十櫛になるがるる黒髪の
おごりの春のうつくしきかな」
とか言ってきたら、まごつくでしょう?
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