6/22 TPOわきまえて韻をふもう

本屋で立ち止まる。
あれ、ラップが流行っているのかしら。
文芸評論の雑誌で特集が組まれているし、
フリースタイルラップバトルという
即興でラップしあう番組の話もよく聞く。
渋谷でサイファーしている(輪になってラップし合う)人も
増えたというし、
シールズの人は国会に向けてラップで気勢をあげていた。
そういえば、ヤフー知恵袋にもこんな切実な悩みがあった。
「彼氏が執拗に韻を踏んできます。
 どうすればいいのでしょうか」

回答者の皆さんは、遠回しに嫌だと伝えろとか
正面からアンサーラップ返して凍りつかせればいいとか
答えていたが、質問者の心中、深くお察しする。

ラップは数十年前の詩みたいなものなので、
二人の中で、前提共有がされていないと、
どうにも、うまくはまらない。
映画「今を生きろ」では、イギリスの高校生が、
豪快な先生に触発されて、
洞窟の中で自作の詩を発表しあって
互いの絆を強めていた。
でも彼らだって、ダイニングでミートローフ食べながら、
味の感想を詩にしていたわけではない。
生活は生活。詩は詩。
だから、どんなラッパーでも韻を踏むのは
場をわきまえなければいけない。
彼女が櫛で髪を解きながら、いきなり
「その子二十櫛になるがるる黒髪の
 おごりの春のうつくしきかな」
とか言ってきたら、まごつくでしょう?

 

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