コロンブスは1492年にアメリカ大陸を発見した。
「1492(意欲に)燃えるコロンブス」だ。
ただ、コロンブスがアメリカ大陸を発見する前から、
アメリカ大陸は頑然とそこにあり、
多くのネイティブアメリカン達は、そこで生活していた。
ネイティブアメリカン側から見る人は、
コロンブスが大陸を発見した初めての人間ではない、という言い方もする。
確かに、コロンブスが発見しようとしなかろうと、
大陸はそこにあったのだから、
「1492年 アメリカ大陸発見!」というのは、
ヨーロッパ側からの見方という他ないし、
日本の見方も、それに習っているだけだといえる。
しかし、存在することと発見(認識)することに、違いはある。
小学生だった頃の僕は、まだこの世に「女」がいることを「発見」していなかったわけで、
学校にわんさかいた女子は、
ドッジボールを全力でぶつけてもいい相手ではあっても、
気を遣って扱うべき対象ではなかった。
彼女らをまだ「女」として発見できてはいなかった。
世の中のアイドルオタクと呼ばれる人たちは、
自分が推しているアイドルが、地上波やテレビの人気番組などに出ると、
「やべぇ。遂に発見される」と騒ぎたてたりするが、
ほとんどの一般視聴者は、そのアイドルを見ても何も感じず、
「発見」されることは、ほとんどない。
ただ、テレビを見ていた多くの視聴者の中の、ごく一部が、
そのアイドルに他のアイドルとは違う何かに気づき、
そのアイドルに惹かれている自分を、「発見」する。
「発見」とはいつも自分の内部の問題だ。
コロンブスだって、発見した大陸を「インド」だと思い込んで、
大陸にキスして涙を流したと聞く。
しかし、その大陸はインドではなかったし、
もっというと、アメリカ大陸ですらなかった。
アメリカ大陸の横の、カリブ海に浮かぶ小さな島だった。
「遂にインドに着いた!」と言って涙を流しているコロンブスを見た島の人たちは、
「?」だったろうし、
その島が後に、「西インド諸島」と名付けられたと聞かされたインド人たちも、
「?」だったと思う。
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