8/14 東京近代美術館

「声ノマ 全身詩人 吉増剛造展」という詩人の
展覧会が美術館でやっていたので、見てきた。

連れられて行ったこともあり、何も知らない詩人だったので、
まず代表的な詩を読んでみようと、会場を回ってみたが
読める詩がほとんどなかった。
詩を書いた上から絵の具を塗りたくったり、
歩きながらつぶやいた言葉を録音したテープを展示したりと、
僕が思っていたような詩人ではなかった。
詩人というよりは、上から降りてきた言葉を残すような、
イタコ的な表現者なのかしらと思った。
ああいうのも、詩人と呼ぶのだろうか。

そんな独特な立ち位置で活動す詩人の展覧会にも、
人がそこそこ入っていた。
さすが東京。こんなポピュラリティを得ていない表現者の展覧会にも
足を運ぶ人がいるなんてさすがだな、と思っていたら、
同じチケットで画家・奈良美智がセレクトした絵画展にも
行けるということがわかった。
みんなは、そっちがメインだったのかもしれない。

僕が詩人と画家、2つの展覧会を見終えて、
ロビーで連れを待っていると、
髪がボッサボサのおばさんがやってきた。
「髪がボサノヴァやなあ」
ふいに口をついた言葉を頭の中で転がしながら見ると、
そのおばさんは、カウンターに肘をついて、
美術館のスタッフが来るのを不敵な感じで待っていた。
しかし、いかんせん、
おばさんのスカートは薄く、中のパンツがスケスケだった。
結構広いロビーで僕のところからだいぶ距離があるにもかかわらず見えた
おばさんのスケスケは、相当なスケスケだろうと思われた。
丈の短いシャツと短いスカートでヘソも足も容赦なくさらけ出しているところからすると、
確信的なスケスケのようだ。
そうやって待っているおばさんの元にようやくスタッフがやってきて、
肘をついたまま髪をかきあたおばさんは、
「このチケットで奈良美智の方も見れんのか!?」
と尋ねたのだが、そのおばさんの声は、まぎれもなく、おばさんではなくおじさんだった。
「ふーむ・・・」

髪がボサノヴァでスケスケのおばさんは、おじさんだった。
みんなにとって今回のメインは奈良美智だったかもしれないが、
僕にとっては、どう考えても、このおじさんがメインの展覧会だった。

 

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