日本刀の鍔(つば)を美術館で眺めていた。
どれもこれも芸が細かい。
なんで職人ってのはこんなに細部にこだわれるんだろう。
この国の人は細工が得意なんだなあと改めて思う。
テレビではオリンピックを振り返っている。
100mを一番速く走ったジャマイカ人も、
重い砲丸を一番遠くに飛ばしたアメリカ人も、
細工が苦手そうな顔をしている。
「俺に細工は通用しないぜ」
そういう顔をしている。
そういう体をしている。
彼らの肉体に細工は必要ない。
アスリートに限らず、西洋の人達は、格好つけるとき
あまり、細工をしない。
服を着るというより、布を被っているというのが
しっくりくる時さえある。
ギリシャから続く肉体信仰は、細工を許さない。
服は、肉体を際だたせるためにあるのであって、
肉体を無くすためにあるのではない。
この国の新宿駅東口を歩くと、
色んな格好で色んな化粧をした女性達がいる。
男性みたいな格好、アニメキャラみたいな格好、
スポーティーな格好、ナチュラルな格好。
みんな、自分が一番魅力的に見える格好をよく知っている。
みんな、実に、芸が細かい。
生の肉体を隠して、細かい芸で細部を作り世界観を作りあげる
この国の女性は、皆、職人だ。
だとしたら、整形が大手を振るうお隣、韓国は、
日本より西洋的なのだろう。
「造形を変えてしまえばいい」という発想は、
ある意味「肉体派」だ。
日本の人は、造形はそのままに、筆で紅で布で、細工をする。
手をいれる。
やや整っていない造形であったとしても、
その造形に似合う化粧をして、髪型をして、服を着こなせば、
造形のディスアドバンテージなんてなかったことにできる。
素材に丁寧に手を入れる。
まさに職人技。
職人大国、ニッポン、バンザイ。
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