8/28 心地よく感じる音の速さ

友人の結婚パーティーに出た。
恋愛がうまくいかない度に、
「恋はさ、いわばエゴとエゴのシーソーゲームだからさ」
と言ってた奴だから、結婚できてよかったなと思う。

最近の結婚式は、主役がよく動く。
歌ったり踊ったり進行したり。
新郎新婦が高砂席で、お内裏様とお雛様みたいに
黙って座っていた時代が懐かしい。
知らないけど。

子供の頃、初めて行った結婚式は、神前式だった。
雅楽の調べにのせて、ゆっくりゆっくりお神酒を飲んだり、
何かを奉納したりしていた新郎新婦をみて、
「のれぇなぁ」と思った。
なんでそんなゆっくり歩くのか、と。
ってか、そののろい音楽、なに?と。

雅楽が(宮廷で)ポピュラーだった時代、
あの音楽をのろいと思った人はいないだろう。
(当時の雅楽は伝えられているより速かったという話も
 あるらしいが)
時代とともに、BPM(速さを測る単位)は
どんどん速くなっている。
90年代の曲なんてつい最近だと思っているのに、
聴くと、思った以上に遅く感じる。
心地よく感じるBPMが50くらい遅い。
平安時代の雅楽なんて、なおさらだ。
BPMうんぬんでは言えない遅さ。
一応、アプリでBPMを測ってみると、
アプリでちゃんと測れてるか心配になるくらい遅く、
雅楽のBPMは、30から40。
でんぱ組の「でんでんぱっしょん」が190くらいなので、
ここ1000年でBPMは5倍ほど速くなったようだ。

BPMが5倍速くなったこの1000年で、
聞ける音楽の量は、5倍どころじゃなく増えた。
歌える歌の数も、5倍なんてもんじゃない。
ただ、BPMが5倍になっても、
歌える音域は5倍になっていない。
雅楽で笛吹いてた人と比べて、
肺活量が5倍になったわけでもない。
もちろん寿命も出産適齢時期も5倍にはなっていない。
情報スピードや情報量など人間が作ったものは
5倍にも何倍にもできるが、
人間が作っていないものに関しては、
1000年たってもほとんど増えも減りもしない。
頭は「でんぱ組.incいいなあ」と思っていても、
体の機能は雅楽を聞いてた時のまま。
その乖離が、今の「都市化」の問題の根底にはある。

新郎新婦が結婚式でよく動き回るようになっても、
男と女が「つがい」であることに、変わりはない。
そこは、人間が変えれる分野ではないので、
1000年たっても変わらない。
感情や情報量や心地良いBPMは変わっても、
ヒトが「つがい」であることはこの先も変わらない。
変えられない。
ヒトは、寄り添い合って生きるしか、ないらしい。

結婚、おめでとう。

 

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