SNSが苦手だ。
どう扱っていいのか全然わからない。
扱い方はわからないが、一応現代人なのでアカウントを開設していると、
知りあいから『友達申請』というものがやってくる。
この申請が来るのは、たいていそれまで気軽に会える関係だったのに、
僕か相手のどちらかが街を離れることになって、それまでのように頻繁に会えなくなるような時だ。
「友達」というものが何かはよく分からないけど、
「友達申請」を送ってきた相手とはすでに何度かお酒を呑んだり、話したりしたとこがある。
まあ、正面切って”友達”とは言わないけど、”友達みたいなもん”だ。
それなのに、そこにわざわざ 「申請」って必要かい。
「承認」って必要かい。
そう考えだすと、送られてきた「友達申請」を「承認」するのが何だかしゃくに思えてきたので、
そのままなにもせずに放置しておく。
それから数ヶ月が経ち、放置していたことなど忘れた頃にその”友達”に再会し、開口一番言われる。
「なんでお前は、『友達承認』しねえんだよ!」
それまで気づかなかったが、友達を「申請」したのに「承認」されないということは、
何かを否定された気分になるようだ。
別に相手を否定したり拒否したりしたつもりもないので、
「フェイスブックに頼らなくても、僕らはつながってるだろ」
と、もっともらしいことを言ってみる。
とっさに出た言葉にしては、なかなか核心をついているが、
自分の芝居染みたセリフに、にやついてしまう。
「いいから、『承認ボタン』押せよ!」
僕のにやつきにいらついた相手は、その場で、僕のスマホをフェイスブックにつなぎ、
『承認ボタン』を押した。
彼は一方的に、彼自身を「承認」し、僕らは晴れて「友達」になった。
ぼくと”正式に”友達になった彼は今後、
まったくSNSを触らない僕から一度も『いいね!』も『コメント』ももらうことなく、
年に一度くらい、まったく新しい情報が更新されない僕のホーム画面を覗くのだ。
そう、僕は彼の368番目の友達で、彼は僕の23番目の友達だ。
トモダチって一体なんだろう・・・。
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