新海誠監督アニメ「君の名は」が大盛況だ。
興行収入的にも批評家からの評価も文句なしというので、
ゴジラがいる歌舞伎町の映画館に見に行った。
なるほど。確かに。
みんながほめる理由がわかる。
作品中、効果的に使われたワードが「黄昏時」だった。
作中では方言なのか「カタワレ時」と言われていたが、
夕方、陽が沈み始めて闇が訪れるまでの時間、
「逢魔が時」ともいわれる時間帯だ。
妖怪が人間界に繰り出してくるのがこの時間帯で、
昼の世界から夜の世界に移動する際に、
妖怪たちは最も活発に活動する。
この時間帯に交通事故が多いのはそのせいだ。
黄昏時が過ぎ、陽がとっぷり暮れた後、闇の世界になって
初めて幽霊と呼ばれるもの達は活動を始める。
最近は日本も完璧な暗闇がなくなったので、
幽霊たちも生きづらくなったようだが、
それでも草木も眠る丑満ツ時には、
暗闇の中、いたるところに幽霊たちは跋扈している。
夜中に起こる交通事故の死亡率が昼間に比べて
ダントツに高いのはそういうことだ。
劇中、「黄昏時」が主人公二人を手助けするのだが、
「黄昏時」が終われば、またその効力もなくなる。
「黄昏時」は、ほんのひととき。
妖怪が見えるのも、ほんのひととき。
でも、見えないからといって、妖怪が消えるわけじゃない。
人間には妖怪はひとときしか見えないが、
妖怪はいつだってじっと人間を見ている。
音も立てずに。
後ろから。
そう、今も、
「君の後ろに黒い影」だ。※
※©水木プロダクション
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