WBCで事件が起こった。
同点で迎えたキューバ戦の4回。
山田選手が打ったボールを、スタンド最前列の高校生がキャッチした。
高校生がグラブを前に出して、フェンスの前で捕ってしまったことで、
誰もがホームランだと思った打球は、判定で二塁打に。
スタンドには微妙な空気が漂った。
その高校生がキャッチしたボールをツイッターにアップしたこともあって、
アカウントは一気に炎上。
氏名、学校、住所が晒され、
1000件以上のリプライが突撃。
翌日のスポーツ紙には本人の顔が特定できる写真が掲載され、
ネット上では、誹謗中傷する言葉が飛び交った。
しかも本人は警備員に連れ出されて、
球場への永久出入り禁止処分を言い渡されている。
試合は、その後、福岡のお祭り男が、
「山田よ、ここまで飛ばしてこそのホームランだ」
と言わんばかりの打球をスタンド中段に打ち込み、
結果、11−6で快勝した。
最終的に勝ったからよかったものの、
負けていたらえらいことになっていた。
というか、すでにえらいことになってしまっている。
顔も名前も家も全部晒され、罵られ、球場にも出禁になった。
確かに少年には、
観戦マナーとネットリテラシーが足りていなかったとは思うが、
高校生は、これから観戦マナーとネットリテラシーを学ぶ歳でもある。
大人が、高校生をネットで中傷して、
ネットが荒れているのに、大手メディアが、
翌日、本人の顔を全国紙で晒すなんて、
とても、まともな大人の行動とは思えない。
日本は本当に、寛容さのない社会に成り下がってしまったらしい。
しかし事はすでに起きてしまった。
事が起きた時には、収め方が大事だ。
以前フィレンツェの大聖堂に大学生が落書きしたニュースがあった。
事がばれて、おおごとになってしまった後、
大学生は、学長と一緒にイタリアに渡り、泣いて謝った。
すると、聖堂側は、見上げた正直さだと、彼らを「平和大使」に任命した。
(そもそも、聖堂は以前から落書きだらけだったわけでして・・・)
子どもに謝らせて、大人はその罪を許す。
そのくらいの寛容さは当たり前に皆、持っているもんだと思っていた。
少年は山田と小久保監督に謝って、二人が少年を激励すればいい。
できれば、そこに王さんか長嶋さんがいて
「よし、許す」といえば、
たいていの日本人は許す(と信じたい)。
そういう「収め方」を、大人は考えて欲しい。
そもそも、最前列にボールが飛んできたら、捕るに決まっている。
そもそも、グラブ持っているんだから、手が出るにきまっている。
「フェンスの前に出てキャッチしてはいけない」というルールも悪い。
観客は客席のようなものだ。
観客が捕ったら、それはホームラン。
そういうルールに変えるべきだ。
そうしたら、野球ファンはチームのために必死で手を伸ばして、
選手の二塁打をホームランにしようとするはずだ。
それは妨害ではなく、アシスト。
そうやって、選手とファンの結びつきを強くすればいい。
ほんと、頼むよ。
ただの野球好きのガキをよってたかった中傷するなんて、
野球ファンって、そんなもんかよ・・・。
コメント