萩に「明倫学舎」という観光名所ができた。
萩藩の藩校だった場所に建っていた小学校が移転するのに伴い、
その歴史ある小学校を資料館のような形で残して、観光地にしている。
江戸の藩校時代や明治の旧制中学時代のいろんな資料が見れるようになっていて、
入館料300円にしては面白い。
入り口では、アニメ化された松陰先生がデジタルサイネージの中で出迎えてくれるが、
まったく松陰先生の面影がなくていい。
変に似てたら、いろんなところから文句がでるだけだ。
松陰先生は、「イメージ」だけでいい。
江戸270年続いた藩にはたいてい藩校があって、
藩の有力者の子弟たちは、藩校で教育を受けていた。
その藩校は、明治になって旧制中学になり、
戦後まで、その地方の秀才を育て上げる役割を果した後、
戦後は、ただの普通高校の一つになったが、
多くが、文武両道を掲げた県下一の進学校に収まっている。
個人的には、そのような歴史と伝統を重んじているような学校は好きではないけれど、
藩校から続く「歴史と伝統」がある分、
藩校の下地がない学校よりも、子どもが自信を持っていたりもする。
例えば、藩校から続く高校から、いい大学に入る子が多かったり、
スポーツの全国大会でもいい結果を出したりできるのは、
その学校の子どもが、それを「当たり前」だと思っているからだ。
合格するのが当たり前。
試合に勝つのが当たり前。
そう信じさせる力は、藩校から続く「歴史と伝統」の力だったりする。
教える側も教えられる側も「当たり前」だと思っていれば、
「当たり前」にできることが多い。
逆に、「歴史と伝統」のない学校は、教える側も教えられる側も、
「できる」と思っていても、心の底では、
できることを「当たり前」だと思いきれなかったりする。
その差が、土壇場での結果に現れることがある。
個人的には、その「歴史と伝統」という固まった価値観が潰す、
子どもの多様性や可能性の方が問題だと思っているが、
「歴史と伝統」ある学校に、
時間的な「タテ糸」の強さがあるのは、確かだ。
もともと明倫学舎があった場所に建っていた「明倫小学校」は、
明倫学舎のすぐ隣に、新築されている。
木材を多く使った校舎で、
日本の小中学校に見られる牢屋みたいな暗さがない。
これからの小中学校は、こういう感じで作ってほしいなと思える、爽やかな校舎。
こちらは中には入れないが、外からタダで眺められる。
山口に御用の際は、是非、二つともお立ち寄り下さいませ。
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