イチローがチームを離れるらしい。
マリナーズからヤンキースを経て、3つ目の球団に当たるマーリンズで今期、
主に4人目の外野手としてプレーし、
打率.255、169打数50安打という数字を残した。
安打数は過去最低だったが、
本人は「最低でも50歳まで」とコメントしているので、
次の球団でもぜひ、頑張ってほしい。
ただ、日米併せての通算打率はいまだ、.323で、
メジャーのみの通算打率でも.312ある。
しかもこれは、プロ26年、14779回打席に立っての数字だ。
100打席や1000打席で残した.323ではない。
見事というよりほかない。
三つ前のコラムで、「子どもたちは怒られることを恐れている」と書いたが、
こどもが怒られることを恐れるのは、
「打席」に立った回数が少ないからだ。
まだ「打席数」の少ない子どもは、一回の「アウト」を恐れる。
その一回の”怒られ”が、「打率」に大きく影響することを気にする彼らは
怒られないように、そおっと振る舞う。
しかし、もう何十年も生きて、「打席」に立ち続けている人たちは、
一回や二回の”怒られ”なんて気にしない。
何千試合に出場している大人の「打率」は、
一度の凡打では、下がらないことを知っているのだ。
「打席」に立つ回数が多くなると、一打席、一打席が軽くなる。
それは、「余裕」でもあるし、「赦し」でもある。
過去の「打席」で、「優しさを見せたり」「気遣いを見せたり」、
「笑わせたり」「手伝ったり」「一緒に物事を進めていたり」していれば、
一回くらい「ミスしたり」「怒ったり」「ケンカしたり」「さぼったり」しても、
そんな大きな痛手にはならないし、それによって関係が壊れることもなくなる。
「打席」が増えれば増えるほど、一度の”怒られ”なんて問題にならなくなる。
一度の”怒られ”で信頼関係が崩れてしまうかもと思うのは、
まだ、あまり、打席に立っていないからだ。
「打席」は思ったよりも数多くあるし、
意欲さえあれば、「打席」を増やしていくこともできる。
「そのことは、怒られてから考えよう」
そういう考え方ができるのは「打席」に多く立ってきた大人だけで、
だからこそ、子どもの背中を押せるのは、大人だけだったりするのだ。
コメント