思春期の高校生たちは毛を嫌う。
すね毛も腕毛も、毛なんて生えてこないに越したことはないと、
女子はともかくとして、男子も、思っているふしがある。
思春期は子どもから大人への過渡期で、
その過渡期を明確に表すのが毛だったりするので、
男は毛が生えた生えないで一喜一憂し、
女は生えてきた毛をとりあえず剃り始める。

過渡期のティーンエージャーが毛に敏感になり、
毛を毛嫌いするのはある程度しょうがないのだが、
毛は生命の証でもあるので、そんなに嫌わないでほしい。
動物を見ればわかるが、
動物は、みんな、ボーボーだ。
猿だってゴリラだって、生まれた時から毛に覆われている。
ヒトに毛が生えてくるのは、
私たちが動物の一員である証なのだ。

それなのに、都会ではすでに、女性の永久脱毛化が進んでいる。
みなが、当たり前のように毛を永久的に放棄し、
毛を放置していることが悪であるかのように扱われる
(と都会の女性が言っていた)。
毛を剃ること、毛をなくすことは、化粧をすることと同じで、
身だしなみの一部でもあるので、
都会の人間が毛をなくしたがるのは、わからないでもない。
身だしなみに気を使うことは人間社会からの要請なので、
それなら永久に毛をなくしちまおう、という気持ちもよくわかる。

ただ、毛が生えることは”自然”なことだ。
「”自然”に生えてくるものに手を入れよう」というのが、
人間社会からの要請であって、
「”自然”を根本から否定しよう」とまで要請されているわけではない。
というか、そこまで要請してはいけない。
毛は生えてくる。
これが、前提。
存在の前提を否定すると、息苦しくなるだけだ。
だれも得をしない。

歳を重ねて、毛に元気がなくなる時期がきたら、
嫌でも、毛はなくなっていく。
毛は生えるべき時に生え、生えるべきでない時には生えない。
毛が生えてきてるんなら、その間は、
お前のすね毛のことも、認めてやれよ、少年。

 

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