京都に五山の送り火というイベントがある。
「大」や「妙」「法」の字に山を焼き、亡魂を送る盂蘭盆会の行事だ。
山の一部を文字型に燃やすのだが、
実際、目にしてみると、たいして驚くようなものではない。
普段、「妙」のそばをよく通るのだが、燃やされていない時の「妙」はただの文字型の溝であり、その山のスケールは、少し大きな草スキーくらいである。
江戸時代、宗教的な意味合いが大きかったとはいえ、スペクタルであったはずの、山を焼いて文字を浮かび上がらせるイベントは、令和の時代にはスペクタルではなくなっている。
プロジェクションマッピングやテーマパークや映画や動画サイトで、もっと壮大なスペクタルを目にしている現代人によって、小高い山を文字型に焼くイベントはあまり心躍らない。
新型コロナが蔓延した去年は、人手を避けるために、文字の書き始めと書き終わり点だけを点火するという、なんとも奇策に出た。
ただ、それほど、五山の送り火はまだ地元の人を集めてしまうイベントなのだろう。
スペクタクルではなくなったといっても、恒例行事。
そう思えば、京都という街が大きくなっただけで、五山の送り火は最初から、地元民へ向けた、少し大きな町内花火大会くらいのものだったのかもしれない。
だとしたら「少し大きな草スキー」とかいって申し訳無い。
五山の送り火
2022年2月6日