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暮らしのマイトパルタ
還俗
ある僧侶が誕生日を祝われていた 「おめでとうございます」 あまりの多くの人たちが誕生日を祝福するからか、僧侶も、「どうもありがとう」と返していたが、音だけが聞こえていたので、その僧侶がどういう顔をしていたかはわからない。 複雑な表情をしてい... -
暮らしのマイトパルタ
イマジン
近くにあるジョン・レノン好きの店主がやっている銭湯でテレビが流れている。 「このあと8時から、ウクライナ侵攻問題を徹底検証!」 そのナレーションを聞いて、店主は、チャンネルを、レストランにあるすべてのメニューを食べ尽くすというバラエティ番... -
暮らしのマイトパルタ
地獄
ある高校の中年の男性の先生は「制服」に対して一家言あるらしく、「あの高校の女子の制服は素晴らしい」とか、「あの私立校の女子の身だしなみはきれいに見える」とか、「あの中高一貫校の女子のスカートの生地は安っぽい」とか、「あの商業高校の女子の... -
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柏手
柏手 境内で 打ち鳴らされる 柏手が 初春の風に 乗っていく 鬼さんこちら 手の鳴るほうへ -
暮らしのマイトパルタ
厄神
厄神 日本の受験生は 太宰府天満宮に向かうが 日本に来る留学生は 決して太宰府天満宮には入らない そこに祀られている菅原道真が かつて遣唐使を廃止したという理由からである 誰かにとっての祭神は誰かにとっての厄神である -
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注釈
注釈 本文より 注釈の多い 人生をゆく -
暮らしのマイトパルタ
夜空
夜空 夜空を見上げ 星の物語を作る西の人たちと 夜空を見上げ 月を歌に詠む東の人たちの 「違い」に目を向ける人がいて 東でも西でも 人は夜空を見上げるという 「同じ」に目を向ける人もいる -
暮らしのマイトパルタ
便利さ
パソコンが普及する前の「手書きの時代」から大学にいる教授に、パソコンと手書きの違いを聞いていた。 その教授いわく、「手書き時代」は三年で一本の論文を書けばよかったものが、「パソコン時代」になると、三年で二本の論文を書くことが必要になったと... -
暮らしのマイトパルタ
おしゃべりのススメ
昔のことはあまり覚えていない。 自分が経験したことでも、自分が覚えておらず、逆に、周りの人が覚えていることがよくある。 それは、自分のデータを「外付けハードディスクに保存」していることでもある。 そうした「他ドライブへの保存」は、個人間だけ... -
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たこぶね
『いつかたこぶねに乗って』という漢詩エッセイがある。 漢詩とそれにまつわるエッセイが書かれている本。 その中に出てくる漢詩のエピソードや人物がまったく聞いたことないような話ばかりで、新しい泉を見つけたような新鮮さがある。 知っている分野の新...