「奇跡のりんご」でお馴染み、
りんご農家の木村秋則さんは、
「無農薬」のりんごを作るのに、8年の歳月を要した。
木村さんの奥さんの肌が農薬に拒否反応を示したこともあり、
りんごを「無農薬」で作ることを決意した木村さんだが、
周りからは、狂人のように言われ、
誰からも相手にされなかった。
毎年毎年、よそのりんご園がたわわに果実を実らせる中、
木村さんの農園は、ほとんど実が実らず、害虫と格闘する日々。
そういう年月が、7年続き、
8年目にようやく、ピンポン玉と小指の先くらいの実が実る。
木村さんの辛抱の日々は、ここから、ようやく結実に向かう。
その木村さんの話を食事の席でしていた時、
木村さんが辛抱し続けた8年を、
「たった8年」と評した人がいた。
木村さんは運良くというか、なんとか8年目に結果を出したわけで、
その辛抱の期間が、8年になるのか、10年、20年になるのかは、
当時の木村さん始め、周りの人には、誰にもわからなかった。
この先、何年辛抱するのか、
もしくは何年やっても芽が出ないかもしれない。
そんな恐れの中で辛抱し続けたからこそ、
木村さんは「偉い」と褒められるのだ。
木村さんは、「たった8年」辛抱したわけではなく、
「たった8年」で結果を出したといえる。
木村さんの努力と運が、「たった8年」で済ませたのだ。
ただ、「たった8年」と言った人が言いたかったのは、
「たったの8年の我慢」ということではなく、
「たった8年」我慢すれば、
誰にも負けないものが作れる可能性があるぞということだ。
その「8年」の我慢は誰にでもできることじゃないけれど、
「たった8年」の我慢で、
競争相手のいない場所に躍り出れる可能性がある。
なのに、ほとんどの人は、その「8年」を我慢しようとせずに、
過当競争の中で戦っている。
その時、過当競争の中にいる人の我慢は、
8年どころじゃ済まないんじゃないの?、と。
『「奇跡のリンゴ」を作った木村さん』、
というイメージはメディアが作った偶像なので、
木村さんの実話を元にした映画を見たいとは思わないし、
木村さんに関する記事を読みたいとも、あまり思わないけれど、
結果がでるまでの期間を「苦悩の8年」と考えるか、
「ブルーオーシャンに出るまでの、たったの8年」と見るかについては、
知りたいと思うことも、考えたいと思うことも、たくさんある。
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