「お前の考え方はさぁ・・・」
友人と話をしていて、
ふと、自分が友人を「お前」呼ばわりしていることに気づく。
なんか偉そうだな・・・。
思い返してみると、
「お前」と呼んでいる友人がいる一方で、
どんな時も「〇〇の考え方はさぁ・・・」と名前で呼んでいる友人もいる。
「お前」と呼ぶ友人と、「お前」とは絶対に呼ばない友人。
気づかないうちに、友人ごとの距離感を変えているのだろうか。
日本語には、英語の「You」に当たる二人称代名詞がたくさんある。
あなた、君、あんた、お前、貴様、自分、おのれ、
おたく、てめえ、うぬ、足下、そち(ら)。
「You」一言で済むところを、
そんなにたくさんの「You」を作ったのは、
日本語では関係によって「You」や「I」を指す言葉が変わるからだ。
「お前」と呼ぶ関係と、「君」と呼ぶ関係には大きな違いがある。
英語の「You」には何も色がついていないけれど、
日本語の「You」には、どれを選んだとしても色がついているので、
どうしても使い分けをする必要がでてくる。
もともと「〇〇」と下の名前で呼んでいた妻を、
夫が「おい」としか呼ばなくなるのは、
下の名前で呼ぶのも、「あなた」でも、「お前」でもしっくりこなくなって、
呼称がなくなった末の、しょうがない「おい」なのだと思う。
どの「You」で呼んでいいのかわからない。
英語圏の人達に、こんな無駄な悩みはない。
色のついた日本の「You」には、
二人の関係によって使い分けなければならない面倒臭さもあるが、
だんだんと「You」が変わっていく喜びもある。
「君」が「お前」になったり、
「あなた」が「あんた」になったり。
それらの変化は、時には、関係がマンネリした結果だけど、
時には、二人が仲良くなってきた証でもある。
「お前」は、関係によっては、失礼な呼び方だけど、
関係によっては、親密さの証でもある。
「お前」と呼びあえる人は、そんなに多くない。
「お前」呼ばわりできる人は、希少な存在なのだと思っておこう。
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