夏祭りに行った。
最近の都市の夏祭りは、櫓の上で和太鼓を叩くのではなく、
ターンテーブルを持ったDJが櫓の上で音楽を流している。
盆踊りと盆踊りの合間になると、DJは、みんなが知っているJポップソングを会場に流し、
夏祭りを盛り上げる。
考えれば、皆が当たり前に知っている盆踊り曲や音頭は年々少なくなっていくわけで、
すべての世代に馴染みのある曲は、すでに盆踊り曲ではなく歌謡曲やJポップになっている。
「サザン」で夏祭りを盛り上げても、別に、悪かぁない。
皆が円になって踊る盆踊りの曲も、耳慣れた、定番の音頭がある一方で、
AKBのフォーチュンクッキーなんかで踊ったりしているが、
それも悪かぁない。
Jポップでも音頭でも、幅広い世代が踊れればそれでいい。
Jポップでも、売れた曲には、必ず、盆踊りや音頭に通じる、
日本人が好きなビートが流れているはずだから。
櫓の上で盆踊りが始まり、櫓の下では、夏祭りにやってきた一般客が円になっている。
その円の外から、櫓の上を見上げる。
櫓の上では、本格的に浴衣を着こんだ人たちがうちわ片手に円になって踊っている。
踊っているのは、揃いの白い浴衣を着た地元の盆踊り会のおばちゃんと、
可愛らしい浴衣から長い手足を出しているモデルみたいな女の子。
モデルの子の後ろに、盆踊り会のおばちゃん、おばちゃん、モデルの子、
おばちゃん、モデルの子、おばちゃん。
たぶん、地元のおばちゃん達だけが踊っていると華がなくて誰も盆踊りに参加しないので、
主催者が、モデル事務所かなにかに依頼して、
浴衣を着たモデルの子をおばちゃんたちの中に入れ込んだんだろう。
確かに見ていて、腰にうちわを挿したずんぐりむっくりのおばちゃん達だけの盆踊りと比べて、
スラっとしたスタイルのいい女の子たちが入った盆踊りは、見栄えがする。
画が持つ。
ただ、同時に、浴衣の袖から見えるモデルの子のスラっとした手足と細いウエストは、
盆踊り会のおばちゃんたちの、芯のある、安定した太い腰を際立たせる。
おばちゃん達の、どんなに手足を動かしてもブレない、信頼感のある幅広い腰は、
盆踊りに本当に必要なのものがなにかを教えてくれる。
少なくとも、それが、「細いウエスト」と「小顔」と「若さ」ではないということを。
もし主催者が盆踊りを愛するがゆえにこのキャスティングをしていたとしたら、
こいつは、名プロディーサーだ。
これは広い世代に受け入れられる盆踊りのかたち。
これから日本各地で盆踊りを存続させていくために、
このキャスティングを基本スタイルとして、全国に普及させてほしい。
覚えておいてほしい。
腰の位置の高い女子と腰の位置の低いおばちゃんの割合と順番を。
基本のフォーメーションは、
揃いの浴衣を着た地元の盆踊り会のおばちゃん、スラっとしたモデルみたいな女の子、
地元の盆踊り会のおばちゃん、おばちゃん、モデルみたいな子、
盆踊り会のおばちゃん、モデルの子、おばちゃん、おばちゃん、おばちゃんだ。
このフォーメーションで、盆踊りを、次世代につなげよう。
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