耳をふさいで
全然人の言うことを聞かない人がいる。
その人が言うには、人から受ける批判や指摘のだいたい3割は的外れなもので、
3割は、批判としては合ってるけど、
それを変えることで新たな問題が起こるから変えなくてもいいような批判で、
残り3割は、合ってはいるけど、
「お前が言うことじゃないな」という類の批判だという。
全部足しても9割しかないので、
「あと1割はなんなの?」と聞くと、
最後の1割は、批判が的を射すぎていて、耳を塞ぐ以外ないものなのだという。
人の意見を聞きたくないために後から付けた理屈に聞こえるが、
誰の意見にでも耳をふさいでいるその男を見ていると、
「でたらめばかりだって 耳をふさいでいたら 何も聞こえなくなっちゃうよ」
と歌っていたブルーハーツを思い出す。
そして、なんかの折に、そういうことをブルーハーツが歌ってたなぁと思い出す時、
どこかの短歌に、「ほとんどのことはブルーハーツが歌ってた」って詠ってたのが
あったことを思い出す。
「元気かな ブルーハーツがだいたいは言っちゃったとか言っちゃってた / 伊舎堂仁」
モンサンミッシェル
島根には「山陰のモンサンミッシェル」といわれる海の中に建つ神社がある。
その神社を盛り上げようとホームページで宣伝している地元のサイトには、
「あのミスチル桜井さんも訪れた!」って書いてある。
しかし、ミスチルの桜井さんは別に、神社に精通している人でもなんでもないんだから、
「あのミスチルの桜井さんが!」ってのはなんの宣伝文句にもなっていないだろうと思う。
「あの柳田国男さんが(民俗学者)!」とか
「あのレヴィ・ストロースさんが(人類学者)!」
とかなら「あの」と付けるだけの意味があると思う。
でも、それだと宣伝としては弱いというなら、せめて、
「あのタモリさんが!」くらいじゃないと、「あの!」が全然生きてこない。