先輩

人生で「先輩」がいた試しがない
「先生」や「先達」と呼べる人はいたし
「後輩」や「教え子」と呼べる人は思い出せるが
「先輩」という人は、誰一人いなかった。

もちろん年齢的に先に生まれた人はいたし
立場的に先にその役割をこなした人はいたが、
それらは時間・制度的な「先輩」であって
制度の外に一歩足を踏み出すと
またたく間に関係が消滅するような「先輩」でしかなかった

「先輩」がいない人は
日常の細かな手助けを誰からもしてもらえないため
自分で考え、工夫しながら、「こんな感じかな」と物事を進めていくしかないし
日常に身近なロールモデルがいないので
自分で考え、決定しながら、「こっちの道でいいのかな」と探りながら歩を進めていくしなかない

「先輩」がいない人は「先輩」がいる人より
時間と手間が無駄にかかるが
世の中には「兄や姉」がいない人も
「祖父や祖母」がいない人も
「父や母」がいない人もいる

そういう環境に生まれた人にとって
それらがいないことは「欠損」でも「欠落」でもなく
ただ、そういうものとして受け入れることでしかないのだから
「先輩」がいない星の下に生まれた人は
ただ、「先輩がいない生」としてたんたんと生きるだけである
次の生に期待しながら

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