
たまに、思い出し笑いで一人、笑うことがある。
 「思い出し笑いをする人は助平」というのを聞いたことがあるが、
 どういう根拠だろうか。
 「鼻血を出す人は助平」という言い方と、
 どっちが根拠ある話だろうか。
思い出し笑いするようなことは、たいていくだらない。
 その場が面白かっただけで、
 時間が経ってから人に説明しても何も面白さが伝わらない。
プールからあがって耳をトントンしている人の
 手の甲のトントンと足のトントンがずれてたこととか、
 町内の運動会で頭がはげたおじさんが、
 ハチマキを女巻きにして走ってたこととか、
 昼ごはん中、テリヤキバーガーにかぶりつきながら、
 「夜ご飯に何を食べるか」話し始めた女のこととか、
 「納豆は宇宙で一番栄養があるんだ」と力説してた男のこととか、
 後からでも笑えることは、
 何一つ、言葉だけでは、面白さが伝わらない。
大学の頃、江戸時代の話をしていて、
  黒船で来航してきたペリーのことを、
一人だけずっと「ペリエ」と言っていた地味な男は、
冗談だったのか本気だったのか、今思い出しても笑えるが、
 その面白さを、人に伝える話術を、僕は持ち合わせていない。
くだらないことは、マンガやアニメの中にも溢れているが、
 ”現実世界”の中で起こるくだらなさの方が、本当にくだらない分、楽しい。
 ものがたりは、”現実世界”で、常に、進行している。
 人の記憶の中には、”現実世界”で笑わせてくれたキャラクターが、たくさん生きている。

 
  
 
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