中学の時は、塾に行っていたので勉強ができた。
学校のテストなんて始めの20分で最後まで終わり、
そのあとの5分を使って気になった問題を見直していた。
念のためケアレスミスがないか、その後5分かけてチェックしたら、
残りの20分は、ぐうぐう寝ていた。
寝たといってもうつ伏せになっていただけだけど、
たまには、本当に寝ることもあった。
本当に寝ちゃったとしても、
残り5分になると先生がアナウンスをかけるので、
5分前には、必ず目を覚ます。
「残り5分」
いつもの声で夢から覚めた僕は、
むにゃむにゃしながら起き上がり、
答案用紙に広がる大きなヨダレの海を見て、固まった。
ヨダレの海と呼ぶにふさわしい大きなヨダレ。
20分前、余裕で解いた回答達が、海の底に透けて見える。
バッと、教室の時計を見上げる。
残り4分。
寝ぼけ眼から一変。
一気に、海を乾かしに入る。
ハンカチ。
持ってない。
ティッシュ。
持ってない。
下敷き。
机の引き出しに入っている。
でも、今試験中。
どうしよう。
吸うか?吸うか?
思考が慌てる。
焦るな、焦るな、まだ時間はある。
残り3分。
ロスタイムなし。
勝負は、ここからだ。
本当の知恵が試される本当の試験は、これからなのだ。
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