貴乃花親方は今、絵本を描いているだろうか。
確か、親方業を引退した際、「これから絵本を描く」と言っていたような。
別に絵本を描き続けてほしいわけではないが、絵本を描くのが皆が思うより簡単なことではないことは広く知られてもいい。

ブッダは「業とはなにか」と問われて、
同じ水でも、蛇が飲んだらそれが「毒」になって、
牛が飲んだらそれが「乳」になる。
これが「業」だと言ったとか言わなかったとか。

詩人とは外に出す言葉が詩になってしまう人のことで、
同じように、絵本作家とは、外に出す言葉と絵が絵本になる人のことである。
絵本の「業」を背負った人である。
つまり、絵本を意識的に描こうとして描く人は絵本作家ではない。
それはおしゃれな人が「おしゃれ」であろうとしなくても「おしゃれ」であるようなものである。
おそらく貴乃花親方は、そうした意味では絵本作家ではない。
あの人は、外に出すものがすべてが「道」になる人かもしれないし、
「心・技・体」になる人かもしれない。
人にはそれぞれその人に合うメディウム(媒体)がある。

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