高校生は、気分のいい時と悪い時の差が激しい。
その激しさが思春期の証なので、
別に、調子の出ない日も何かとつっかかってくる日もあっていいのだが、
大人になる段階で、
じょじょにでも自分の気分をコントロールできるようにならなければならない。
自分にとって重要なことがある日に、
「調子が悪かった」じゃ、どうしようもない。
自分の気分をコントロールする方法はいろいろあるだろうが、
その一つは、上手く呼吸をすることだ。
人のからだは、人間がつくったものじゃないので、
ほとんどの臓器を人が意識的に動かすことはできないが、
唯一、肺だけはコントロールすることができる。
つまりは、呼吸。
インドのヨガでも、日本の武道でも、呼吸法にうるさいのは、
呼吸によって、人がからだにアクセスできるからだ。
へその下にある臍下丹田を押さえさせながら、
半跏趺坐で座らせた男子高校生に、ゆっくりとした呼吸の仕方を教える。
「浮足立つ」という言葉どおり、
人は、我を忘れると重心が高くなってくる。
ゆったりと呼吸をして下っ腹を満たし、
重心を下げてやらなければいけない。
呼吸を整えれば、その舞台が大きかろうと小さかろうと、
自分にできることは全力を出すことだけだということを思い出す。
自分にできることは、自分にできることだけ。
呼吸が浅いと、そんなことすら忘れてしまう。
でも、本当に自分の状態をコントロールする方法は、
実際の場面でやりながらでしか見つからない。
僕には僕の、重心を下げるやり方があり、
人には人の、我を保つやり方がある。
呼吸は基本。
応用はいつだって、自分で見つけるしかない。
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