「でこすけ」や「でこっぱち」

 

最近、青っ洟を垂らしている子を見なくなったのと同じように、
「でこっぱち」な子を見なくなった。
前はもっと「でこっぱち」とか「でこすけ」と呼ばれてそうな、
おでこに目が行く子どもがいたように思うけど、
何の変化なんだろう。
近頃の子どもの髪型が変わっただけだろうか。

おでこは、額(ひたい)とも言うし、
「ぬかずく(深く頭を下げること)」時の「ぬか」も、おでこのことをいう。
「ひたい」の「ひた」に漢字を当てると、「直」で、
「ひたむき」とか「ひたすら」とかに通じる音であり、
ただ、相手にまっすぐに向き合おうとする部位が、「ひたい」なのだ。
だから、「ひたい」は、意志をよく表す。
男が、ハチマキをして「ひたい」を締め付けたり、
女が、前髪を全部あげてゴムで縛り、「ひたい」をむき出しにする時、
そこには、相手やものごとに向かおうとする意志が見える。

いくつになっても「ひたむき」に相手に向き合うことはできるけど、
やっぱり、何かを「ひたむき」に頑張ったり、
「ひたすら」に打ち込むのは、
大人よりも子どもだ。
「まっ直」に向き合う姿勢は、
子ども時代にこそ顕著に現れる特徴で、
その時、その「まっ直」さを象徴する「おでこ」は、
なによりも、光輝いている。
大人のおじさんの広くなった「おでこ」とは違う、
静かな意志を示す、まっすぐな「おでこ」。
そんなおでこを最近、見なくなったのは、
多分、子ども達の髪が長くなったせい。
「でこっぱち」や「でこすけ」を最近見なくなったのは、
多分、シラミ対策で坊主にする必要がなくなったせい。
変わったのは、髪型。
子どもの「ひたい」は何も変わっていない。
大人としては、そう、思っておきたい。