寝落ち

まだ今日は終わらない
俺の今日はこんなものじゃ終わらない。
そう思って、毎夜毎夜を過ごしていたから、
20代の多くの夜を床で寝てすごした。
寝ようと思って布団で寝た夜よりも、
床に突っ伏したまま朝を迎えた日の方が多いと思う。
ちゃんと布団に寝る方が次の日の効率がいいことは言うまでもなく、
さっさと毎日今日を終わらせていればよかったと今になって思う。

「寝落ち」にもいろいろあって、
パソコンを開いたまま朝を向かえるならまだいい「寝落ち」で、
ごはんを食べながら「寝落ち」した翌日の朝なんかは、
両手にお茶碗と箸を持ったまま、
口の中が、まだ、昨晩のキムチとご飯でいっぱいってことが多くある。
日をまたいでもキムチは辛くご飯はおいしいが、
お茶碗のなかの固くなったご飯の続きを食べる気にはならない。

おととい、目覚めると、リビングの天井をあおいでいたので、
ああ、また「寝落ち」してしまったんだなと思って起きあがろうとすると、
左手にスプーン、右手にハーゲンダッツのカップを持っている。
カップの中身が空だったので、ははーんと思いながら下を見ると、
カーペットにハーゲンダッツがべろーんと寝ていた。
急いでもしょうがないので、ゆっくりとタオルでゴシゴシ拭いたけれど、
いまだにバニラの匂いは落ちない。
まあ、落ちたのがハーゲンダッツでよかったなと思う。
これがキムチなら、朝からあまりにブルー。
でも、これがキムチなら、
いいかげんちゃんと明日から布団で寝るかもしれないのになとも、思ったりする。