戦隊ヒーロー

日本で生まれた戦隊ヒーローが、海外でも人気を博している。
北米で大人気の戦隊ヒーロー「パワーレンジャー」は、
ここ20年、アメリカの子どもたちを熱狂させ、
90年代には、子ども番組史上最高の視聴率を叩き出している。
クリスマス商戦の時期になると、
おもちゃ売り場からパワーレンジャー商品がなくなるなど
社会現状にもなった戦隊ヒーローは、この夏、日本に逆輸入され、
全国の映画館でロードショーされていた。

日本の戦隊ヒーローものをアメリカに輸出し始めた当初、
アメリカ関係者からの反応は芳しくなく、
日本型のヒーローが欧米で成功することはないと言われていたという。
それは、バットマンにしてもスーパーマンにしても、
欧米でヒーローといえば、ひとりの男が奮闘する物語であって、
ヒーローが5人もいるということは、ありえなかったからだ。
多くの欧米人にとって、ヒーローといえば、キリストのことであって、
キリストが5人もいるということは、彼らには考えられない。
「世界を救うのは、ひとりの男」
そう、相場は決まっている。
赤や黄色の、それぞれの担当カラーを持った男たちが、
協力しながら世界を救うという図式は、
欧米人には根本的に馴染まない。
そう、日本の戦隊ヒーローを知らない欧米人たちは考えていた。
しかしながら、ふたをあけてみれば、
放送開始から子どもたちのハートをわしづかみし、
アメリカに新たなヒーロー像を提示した日本の戦隊ヒーローは、
堂々と、海外でも、市民権を得た。

ゴレンジャーに始まる戦隊ヒーローほど、
日本人の集団気質を表しているものもない。
日本人は、屈強な個人ではなく、”集団に属する個人”にしか肩入れしない。
集団の中の一部分を担っていることにしか興奮しないのだ。
それはたぶん、時代を超えても変わらない日本人の性質で、
いまのアイドルグループを見ていても、
アイドルの人気メンバーが、グループを卒業したとたん人気を失ってしまうのは、
ファンが”個人”ではなく”集団に属する個人”を応援しているからだ。
日本人は、アカレンジャーがゴレンジャーを卒業して、
ソロとしてスーパーマンになることを良しとしない。
あくまで、集団の一部分を担っているヒーローだけを、応援するのだ。
そして、それは、日本人がいいものを生み出す時は、
個々人が各々の役割に徹した時だということにもつながるのだと思う。