頭で食べる

ベジタリアンの人がいる。
冷凍食品を食べない人もいる。
保存料を気にして菓子パンを食べない人もいるし、
着色料を気にして子どもに駄菓子を与えない親もいる。
食べるものが直接体調に影響する人はまだしも、
何を食べてもほとんど体調が変わらない人も、
日々何を食べるかに、色んな注意を払っている。

食べ物に普段あまり注意を払わない僕も、
以前「ランチパックは半年放置していても腐れない」という話を
ネットで知って以降、ランチパックを避けるようになった。
必要以上の保存料を使っている商品はランチパックに限らないだろうが、
知ってしまった以上、もう買う気にはならない。
それからなんだか、総菜パン自体買わなくなってしまった。

普段から僕らは保存料の入ったものを多く食べ、
たくさんの保存料を体に溜めている。
人が死んで、通夜や葬式を迎える時、遺体を冷やすためにドライアイスを使うが、
最近は、保存料がたくさん体の中に溜まっているので、
だいぶ、ドライアイスの量が少量で済むようになったという笑い話も聞いたことがある。

まあ、笑い話というか、怪談話か。

現代は、どう作られたかわからない食品を口にすることが多いため、
皆、食品情報に対する感度が高い。
「舌」ではなく「頭」でものを食べているので、
体に悪いと知った瞬間、味まで一気にまずいように感じてしまう。
「情報」に非常にセンシティブ。
それに比べて、年寄りたちは、平気で冷凍食品を食べる。
レトルトも使うし、総菜パンもぱくぱく食べる。
食生活が乱れてない時代に育ったはずなのに総菜もレトルトも平気で食べるのは、
「食い物があるだけまし」だと思っているからだろう。
手間暇かけて料理をしていた世代なのに保存料や着色料を気にしないのは、
当時から、「手間暇かけたくてかけていたわけでは」ないからだろう。
あの時代の人は、食べ物を「舌」で食べている。
食えるか食えないか。
腹の足しになるかならないか。
生存ラインからはるか離れたところで、
その食品が健康にいいかどうか、「舌」ではなく「頭」で決めているのは、
だいぶん余裕のありすぎる証拠だろう。