もう一つビッグイシューからの話。
今回の特集は「YA文学」というものだった。
初めて目にする言葉だが、「ヤングアダルト文学」の略だという。
中学生・高校生向けに書かれたような、
児童文学と普通の文学の間に位置するものかなと思ったが、
記事の定義では「大人が背負わなければならない社会的な
問題を背負わされた子どもを描いた文学」ということらしい。
「クリスマス・キャロル」とか「赤毛のアン」とか
「飛ぶ教室」とか・・・。
こういう風に分類することの是非はよくわからないが、
このジャンルの作品は好き嫌いがわかれる。
なにせ、主人公が小学生や中高生だ。
子どもを描くのはけっこう難しい。
大人びていても「そんな小学生いないよ」と思うし、
あどけなさすぎても「今の中学生はそんなウブじゃないよ」
と思う。
本当はというか、現実には様々な子どもがいて、
大人が知らないような難しい言葉を使う小学生もいるし、
微積分習ってても家で寝ションベンしてしまう高校生もいる。
現実には色々な子どもがいるが、
それが物語の中に出てくると違和感しか感じない。
物語だけに、ある程度のリアリティを読者は求めてしまう。
リアリティがないのに、違和感を感じさせないとしたら、
それは作者の筆力がすごいからだろう。
「海辺のカフカ」の15歳の主人公なんて、
日本中探しても絶対どこにもいない。
その前に、「海辺のカフカ」はYA文学ではないだろう。
あれ、じゃあ「桐島、部活やめるってよ」はYA文学だろうか。
「桐島」は大人が背負わなければいけない社会問題を背負ってる
だろうか。
「三四郎」は、「坊っちゃん」はYA文学だろうか。
夏目漱石は日本の近代を背負っていたが、どうだろうか。
なかなか、分類とは難しい。
大人が児童文学も読むように、
子どもも読みたい本を読めばいいと思う。