10/18 頭と心の乖離

Teach for AmericaというNPOがある。
教育格差の是正を目指した教育団体で、
教育環境の悪い地域に、有名大学を卒業した新卒生を2年間
教師として派遣することで、子どもの学力向上を目指す団体だ。
この団体は、2010年、全米の人気就職先ランキングで
並みいるIT企業を押さえて文系部門で一位になっている。
その背景には、グーグルなどの大手が、新卒内定者に対して、
2年間のプログラム参加を許可しているという背景もある。
「武者修行的に行ってこい」的なことなのか、
そこで2年間頑張ることが、リーダーシップなどにおいても
いい訓練になるということで、企業からも後押しされているのだ。

その活動に共感して、日本でも同じ活動をやろうとした人がいた。
松田さんという人で、帰国してTeach for Japanを立ち上げた。
ただ、松田さんはアメリカの大学院で
Teach for Americaの活動を分析する中で、
最終的には、「日本では成功しない」という結論を出していた。
アメリカと日本では、寄付文化や税制、教育システムが違うため、
上手くいかないだろうと。
しかし、松田さんは日本に帰国して、その活動を始める。

論理的に「NO」と結果がでても、やっぱりやる。
それがパッションだし、
自分の分析結果が正しいかどうかなんてわからない。
やってみなければわからない。
何かを始める時ってそういうものだろう。
ただ、頭で「NO」と出した答えがあるのに、
そこに進んでいってしまうのは、すごく日本人的だと言う人もいる。

フェンシングの代表コーチにオレグさんというウクライナ人がいる。
オレグコーチが、日本に来て不思議に思った話があるという。
オレグコーチが教えていたある選手は、
教師をしながらの選手生活だった。
彼女は、国際大会に出るだけの実力を備えながら、
仕事のため、1日2時間しか練習時間がとれなかった。
そして迎えた国際試合で、彼女は相手の欧州選手に負けてしまう。
オレグコーチは、泣いている彼女を見て、驚き、尋ねる。
「なぜ泣いているんだ」」
オレグコーチは不思議でたまらなかった。
相手は毎日8時間以上練習に打ち込んでいる選手で、
彼女は毎日2時間しか練習していない。
その差は明らかで、もし勝ちたいのなら、練習時間を伸ばすなり、
2時間で8時間に勝る練習をするなり考えなければならない。
それを考えずに、負けて泣くなんて・・・、不思議だ・・・。

日本の人は、時に、頭と心が乖離する。
心を優先して、論理を置いてけぼりにする。
やらなければならないことを脇に置いて、気持ちでやろうとする。
それは経済でも、政治でも、社会システムでも同じだ。
心だけが先走る。心、優先。
ただ、現代は「情報過多」時代で、
頭だけ先走っている例もたくさん見いだせる。
頭、優先。
頭と心はいつだって「バランス」だ。
どちらが先走ればよいということではない。
人間は、両方ないと、人間ではいられない。