10/20 ボケる前にとぼけよう

高齢化社会においては、多くの人がボケてくる。
ボケは、介護する周りの人たちが大変なので、
なるべくボケないでほしいというのは、家族の切なる願いだ。

ボケないための予防法は世間にたくさんあるだろうが、
僕が知っている「ぼけ」ない方法の一つに、「とぼける」というのがある。

「ボケる」には頭を使わないが、「とぼける」には頭を使う。
頭が正常な人のみが、「とぼけ」ていられるのだ。
老人にはもっともっと、「とぼけて」いてほしいと思う。

「塩爺」こと塩川正十郎さんは、とぼけていた。
80歳の高齢で財務相を務め、国会で野党に追求されても、
面倒なことは「忘れてしまいました」で済ましていた。
「とぼけた」老人は、ボケているのかとぼけているのかわからないので、
聞いている方は、何も追求できない。

塩爺は「とぼけて」いたので、
「議員は普通の人と違って金がかかるのだ」と正面から吐き、
「人間平等だと思っていたらとんでもない間違いだ」
と有権者に嫌われるような発言を平気でしていた。
テレビの情報番組で「騒音おばさん」を見て、
「これキチガイの顔ですわ」とも、つぶやいていた。
「とぼけた」老人は、片足を社会の外に踏み出しているので、
社会の中の人が言えないことでも、簡単に言える。
多くの人が言えないことを言ってもらうためにも、
老人には「とぼけて」いてほしい。

そういえば、漫画家の水木しげる先生も「とぼけて」いた。
先生は、周りが、「大御所妖怪」として扱いすぎたので、
いつも、率先して「とぼけ」を演じていたように思う。
先生が海外旅行に行く際も、航空会社にカードを薦められて、
「マイレージカードはいりません、私はVISAをもってますから」
と言ったという。
と、とぼけている。
(とぼけているんだよねぇ・・・)

そんな水木先生だから、若者に向かって、
「少年よ、がんばるなかれ」とか、
「努力は人を裏切る」とか、
普通の人が言えないことを、平気で言えた。

水木先生のマンガのキャラもたいてい「とぼけて」いて、
鬼太郎は「いやあ、ぼく、生まれつきのマンガぎらいです」
と言っていたし、
ねずみ男も、砂かけばばあが
「子泣きじじいの指は食ってもスグ生えるんじゃ」
と言った時、
「げっ、おばけ」と言って驚いていた。
(お前がな!)

妖怪は、とぼけている。
人間の中で妖怪にもっとも近い老人には、もっと「とぼけて」いてほしい。